第186話 VS松美林1
一回表。
俺達は後攻なので早速マウンドに立つ。
「まっさらなマウンドはやっぱりええですなぁ」
一番打者は早速ラスボスの白馬君だから気は抜けないんだけど。
レオン並みの圧力を垂れ流しやがって。
冬を経て白馬君もレベルが一段上がってるらしい。全く嫌になるね。
初球。
アウトコースへのナックルカーブから入った。
審判によってはストライクともボールとも取れる一球。とりあえず白馬君の反応を見てみようと投げてみたんだけど。
「くそが。読まれてたか」
巧みなバットコントロールで逆らわずに流し打ち。三遊間を綺麗に抜けていった。
因みに今日の龍宮のスタメンはガチだ。
松美林相手には控えじゃ厳しいって判断なんだろうか。監督はなんだかんだ春季大会を勝ち上がるつもりらしい。
関東大会とかあんまり興味ないんだけどな。
「厄介な打者を出したな」
守備と走力はウル並み。
バットコントロールはレオン並み。
これでパワーが合ったらレオン以上のバケモンだっただろうな。
とりあえず牽制球を二回続ける。
俺は牽制も上手い自信があるんだけど。
やはり警戒してるのか、中々刺す事が出来ない。
2番打者は既に送りバントの構え。
一応エンドランも警戒しないと。
高めにストレートを2球続ける。
あわよくばバント失敗も狙ったんだけど、しっかり鍛えられているのか、2球目をしっかりサード方向へ転がされた。
送りバントは成功してワンアウト二塁。
迎えるはクリーンナップ。
相手の秘密兵器がなんなのか分からないから、先制点は与えたくない。
ってか、絶対に点を取られたくない。
という事で、まだ初回だか早速ギアを一段上げる。白馬君との対戦は本気じゃなかったとかそういう訳じゃないんだけど。
不用意に様子見したのは否めない。失敗はここでしっかり取り返させてもらおう。
3番をストレートとチェンジアップで追い込み、ツーシームで空振り三振。
4番を初球のスラッターでショートゴロに打ち取った。
「ふむん。スラッターを当ててくるのか」
「本当に当てただけだけどね」
ベンチに戻ってきたけど、豹馬君は不満ですよ。
まさかスラッターを当てられるとは思ってなかった。せっかくギアを上げたんだし、三振で仕留めたかったんだけど。
「白馬君だけのワンマンチームかと思ってたけど、4番にも注意かね」
油断は禁物だけど。
初回から得点圏まで進まれてるしな。
「で、あれが秘密兵器か?」
「かな? 確かに打ち辛そうではあるけど」
「霊山よりはマシだろ」
「こっちは左だけどね」
眼前で投球練習してる松美林の投手。
どうやらこれが秘密兵器らしく、珍しい左のアンダースローだった。
といっても、霊山よりは完成度は低い。
最初は苦戦するかもしれないが、うちの打線ならそう時間も掛からずアジャストしてくれるんじゃなかろうか。
「それにしてもおっそいな」
「MAX125も出てないんじゃないかな?」
ワンチャン俺でも当てれるのでは?
ちょっと打席に入るのが楽しみになってきた。
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