第187話 VS松美林2
試合は進んで三回表。
スコアはなんと0-0。
得点圏までは毎回ランナーを進めるものの、相手のアンダースローにギリギリの所で踏ん張られている。
俺はというと、初回に白馬君にヒットを打たれたものの、その後はランナーを許さず。
現在ツーアウトで白馬君と二度目の対決を迎えているところだ。
「今回は打たせませんよって」
初球。
インローへのスイーパー。
ただでさえサイドスロー気味に投げてるから左打者相手には背中からボールがくるように見えるのに、更にスイーパーである。
普通なら仰け反る筈なんだが、白馬君はしっかりとボールを見ていた。
一応判定はストライクだったが嫌な感じである。
「もっとビビれよな。ぶつかるかもしれないんだぞ?」
俺が当てないとでも思ってるんだろうか? なんて嫌な信頼のされ方だろう。
俺は死球が大嫌いだから当てないように細心の注意は払ってるけど、それでもたまにすっぽ抜けるんだよ?
2球目。インハイへの渾身のストレート。
白馬君はこれに反応するもバックネット裏に飛んでいくファール。
球速は間違いなく150キロを超えてたと思うんだが、しっかりタイミングを合わせられていた。
「はぁー。やだやだ。これだから天才は相手にしたくないんだ。そういうのはレオンで間に合ってるんだよ」
3球目。アウトローへのチェンジアップ。
しかし、白馬君は泳ぎながらもバットを合わせてファール。
一応決め球だったんだけど、上手く逃げられてしまった。
4球目。アウトローへのスラッター。
これは見逃してボール。ピクリとも反応しなかった。ムカつく。
5球目。高めへのボール球のストレート。
高めへ目付けをする為に投げたボールだが、これに上手く合わせられた。
打球はライト線のファールゾーンは飛んで行ったがヒヤヒヤもんである。
本命は次なのにその前に仕留められる所だった。
カウントはワンボールツーストライク。
そして6球目。インローへストライクからボールになるツーシーム。
ストレートとほぼ球速が変わらないこのボールに白馬君は反応。
スイングを始めたが途中でツーシームと気付いたのか必死にバットを止めようとした。
が、審判の判定はスイング。
空振り三振でなんとか白馬君を抑えて、三回表が終了である。
「あぁー。神経使う。白馬君はマジで厄介だな。ツーシームも途中で見極められたっぽいし」
「豹馬があんなに気を使ってピッチングするのはレオンを除けば白馬君ぐらいじゃない?」
そうだな。
でも得点圏にランナーがいる時の隼人もかなり気を使うし…。最近は大浦がバケモンになってきてるからな。俺もウカウカしてられん。
「打者の方々はそろそろ俺を援護してほしいもんですな。アンダースローにいいようにやられちゃって。霊山の高笑いが見えるようだぜ」
「豹馬も人の事言えないよね?」
金子君、それは黙ってなさい。
これは当てれるぞと意気込んで打席に入ったものの、尻もちついて空振り三振してきた事は忘れるんだ。
それはもうパワプ○並みの空振り三振だったからな。観客はめっちゃ笑ってたし。恥ずかしいったらありゃしない。
ホームラン打てると思ったんだけどなぁ。
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