第49話 3年生達との会話
「キャプテン!」
3年生はキャプテン合わせて9人とマネージャーが1人である。
俺達のせいでベンチ入り出来なかったメンバーもいたが、それでもスタンドから応援してくれていた。
「豹馬か。どうした? おっと、余り無理するなよ?」
焦って出て来たから、転びそうななった所をキャプテンが支えてくれる。
やだ、凄い筋肉。
俺は筋肉に夢中になりそうな所でハッと我に返って周りを見渡す。
「ふぅ。マリンには見られてないな。こんな場面見られてたら薄い本待った無しだぜ」
「ん? 何か言ったか?」
「あ、いえ! なんでもないです」
「それで? どうしたんだ?」
俺は意を決して3年生に頭を下げる。
「夏、終わらせちゃいました。ほんとにすみません」
3年生は一瞬キョトンとして、笑い出した。
なんだなんだ? そんなにおもしろかったか?
「えーっと?」
「あぁ。すまんすまん。まさか豹馬からそんな事言われると思ってなかったからな」
「いや、まぁ調子乗って出て行ってすぐ交代ですからね。流石に責任感じますよ」
「なんだそれは? 延長で勝ち切れなかった俺達に対する当てつけか?」
「そういう訳じゃないんですけど…」
キャプテンがにやにやしながら茶化してくる。
「本当に気にするな。第一、お前達1年が今年入って来なかったらベスト4まで来れなかったさ。良い夢を見させてもらったよ」
「ああ、そうだな。本当に感謝しかない。最後の大会のお陰でいくつかの大学の推薦を貰えそうなんだ」
キャプテンと吉見先輩が励ましてくれる。
駄目だ。また泣きそう。
昨日出し尽くしたはずなのに。
「で、でも俺はキャプテン達と甲子園に行きたくて…」
「その気持ちだけで充分だ。この4ヶ月は本当に楽しくやらせてもらったよ。所詮俺達はベスト4で満足してしまうような駄目な先輩だ。来年はしっかりと甲子園に連れて行ってやってくれ」
また、ポロポロと泣き始めた俺をキャプテンが抱きしめてくれた。
☆★☆★☆★
物陰では、豹馬と3年生達の会話を1年シニア組がばっちり聞いていた。
「あーあー。パンったらあんなに泣いちゃって。普段のちゃらけた様子からは想像出来ないわね」
「中学の時も結構泣いてたよ。それこそ最後の大会で自分が出れなくて負けた時はみんなに謝ってたよ」
「あいつは野球にだけは真剣だからな。だからみんなついて行こうと思うんだろう」
「俺達も頑張らないと。いつまでもパンとレオンにおんぶに抱っこじゃ情けないし」
「けっ。自分が投げてたら勝ってたと思ってる辺り傲慢だがなぁ」
今大会、1年組はみんな活躍したが上位の強豪校になるとレオンと隼人以外は打撃であまり結果を残せていなかった。
タイガとウルは特にそれを気にしている。
「ん? マリン、何書いてるの?」
「次のネタよ。こんな美味しいシーン見逃せないわ」
「あははは。ほどほどにね」
後日、この一部始終を脚色した薄い本を見せられた豹馬は膝をついて絶叫したそうな。
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この後で、登場人物紹介と掲示板をぶっ込んで
2章は終わりです。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
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