第219話 バッティングセンター
「おお。打ててる」
焼肉翌日の練習。
目の前では変化球を普通に打ち返してる剛元が居た。まだ綺麗な形とは言えないけど、それでも昨日の試合で何かを掴んだのか、父さんにマンツーマンで指導されながら練習に励んでいる。
清水先輩も昨日の試合で結果が出た事から、木製バットへの本格的な変更する事を決心したのか、練習でも気持ち良い程の快音を鳴らしている。
俺はというと今日はノースロー予定なので、投内連携をやった後は体作りのトレーニング。
小枝から普通の枝への成長を目指して頑張ってるところであります。完全に体が出来るまで後五年は掛かるだろうけどさ。その頃にはプロでバリバリに投げてるはず。怪我しないようにしなきゃね。
『ホームラン! カウンターにて商品をお受け取り下さい!』
『ホームラン! カウンターにて商品をお受け取り下さい!』
練習終わりにふとタイガが久々にバッセンに行きたいと言ったので、近くのバッセンに。
メンバーは俺、タイガ、ウル、レオンだ。
隼人は彼女の所に行った。けっ!
で、レオンに300円払って130キロのマシンに入ってもらう。
中央にあるホームランって書かれてる的に当てると、三回無料プレイ出来るコインが貰えるんだよね。
「レオンが居たらタダで遊べて助かる」
一回のプレイで2本のホームランを打ち、合計六枚のコインを手にしたレオン。
300円が1800円分に化けた訳だ。これが現代の錬金術よ。
「ねえ、レオン。150キロがあるよ。前までこんなの無かったのに」
レオンからコインを貰って、よし80キロをかっ飛ばすぞと思ってたら、モンスターマシンって書かれてる打席を見つけた。
150キロのストレートを投げてくれるマシンらしい。
「どうせだから、みんなで勝負しようよ。ヒット性の当たりが一番少なかった人が、今日の晩飯奢りとかどう?」
「オブジェクション!!!」
異議あり! 異議ありですよ!!
明らかに不利な人が居ますよね?
誰とは言わないけど勝ち目のない人がいますよ?
「大丈夫。パンは元から頭数に入れてないよ」
「えっ…? それはそれで…」
仲間外れですかな? 俺ちゃんそういうのに敏感よ? 流石にちょっと傷付くかなぁって。
メンタルがオリハルコンで出来てる俺でも、ちょっと心にヒビが入ったかもしれません。
「ああ。言い方が悪かったね。昨日勝弥コーチに焼肉奢ってもらったし、今日は俺達が出すよって事。打席勝負なんてしたら、パンに勝ち目がないのは分かってるし」
あ、そういう事。
お前ら良い奴だな。最初から俺が負ける前提なのはムカつくけどね? いや、そりゃ負けるけどさ?
チャレンジぐらいはさせて欲しいな?
「変にバットに当たって腕を痛めたらどうするのさ。大人しく80キロで遊びなよ。それすらも怪しいんだし」
「流石に80キロは当てれるわい!」
流石の俺でも80キロぐらいならポコポコ打てる。
それが100キロを超えてくるともうダメだね。
バントは出来るんだけどなぁ。
そして結局、三人で勝負を始めて負けたのはレオンだった。まさかのレオン負けに俺氏びっくり。
かなり接戦だったらしい。あの魔王も負ける事があるんだな。なんか人間アピールしてるようにしか思えないんだが。
その日食べた二郎系ラーメンはとても美味しかったです。人の金で食う飯ってなんでこんなに美味いんだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます