第206話 先輩の力
その後は金子が時折ランナーを出すものの、二塁を踏ませない圧巻のピッチング。
相手も本調子のメンバーではないとはいえ、金子の成長が感じられる。
打つ方では、変わったばかりのタイガがツーベース。一二三少年は良い当たりだったものの、好守に阻まれ、剛元の所で代打レオンがツーランホームラン。敬遠するかなと思ったけどね。されたら次は隼人が、大浦がって出て来るかもしれない事を考えたら勝負せざるを得なかったって感じかな。
そしてそのまま5-3で逃げ切り、龍宮高校は関東大会の初戦を勝利で飾った。
「剛元もなぁ。やっぱり変化球の対応が…」
改善してきたとはいえ、甲子園常連校のピッチャーから打てる程甘くはない。
二打席目からは変化球にバットがくるくると回っていた。
「終わってみれば先輩の力に助けられて、なんとか勝てた試合になりましたね」
「甲子園常連校相手に良く頑張ってた方だと思うけど」
ミズチはどよんとした感じでショックを受けていた。俺は充分だと思ったけど、納得はいってないらしい。
「一年で文句ない活躍を残せたのは球児だけでしょ」
一二三少年は5打数3安打の猛打賞。
鮮烈なデビューを飾ったと言えるだろう。
向こうも向こうで納得いってないみたいだけど。
パワー不足なのか、全部差し込まれてるのを気にしてたからな。こればっかりは焦らず地道に体作りをしていくしかない。
一二三少年が焦らなきゃいいけど。
怪我で中学時代を棒に振ってる訳だし、怪我の恐ろしさは身をもって理解してるだろうから、そこまで心配はしてないけど。
「明日勝ったら、多分また先発させてもらえるだろうからその時にアピールするべきだな」
明日の先発は俺なので。
しっかり勝ってミズチにバトンを繋いでやりたい所。でもなぁ。明日は投手が良いんだよなぁ。
「浦和かぁ。練習試合でやって以来だな」
明日の相手は埼玉の浦和。
冬の練習試合解禁してから何校か合同でやった時に当たったチームだ。
そこに、シニアの時にも戦った事がある増田っていう良い投手がいるんだよねぇ。
確かキレッキレのスライダーを投げてくる奴だ。
「打者陣はまた一年生と控え中心だろうし。これは投手戦になるかもな」
俺が打てるわけないし。
打ったら熱出るし。
「打者陣の頑張りに期待しましょうかね」
「自分が打たれるとは思ってないんですね」
どうだろうね。
もしかしたら一点ぐらいは取られるかも?
プリンスのリード通りに投げるつもりだし。
後で少し話しておく必要があるかもな。
「圧倒的実力でねじ伏せてやりたいところだけどな」
流石にコースが読まれてりゃ打たれる。
相手は強豪校だし。
分かってても打てない投手になるのが目標だけれども。まだまだ発展途上なもんで。
体が完成したら無双する事をお約束しよう。
レオンだって白馬君だって抑えてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます