第89話 VS関東一高3
試合は七回裏の龍宮の攻撃。
先頭は3番のレオンから。
しかし、なんとなんと、この日3つ目の三振。
レオンが絶不調である。
「どこか怪我でもしてんの? お前が3三振とか見た事ないんだけど?」
「わからん。自分でもなぜこうなってるのか。これがスランプというやつか。初めてなんだが」
レオンはこれまで体調不良以外で調子を崩した事がなかったからな。
正直こいつはスランプとは無縁なんだと思ってたんたが。
ちゃんと人間アピールも出来るようだ。
「大浦への対抗意識ちゃうか? 今まで同世代でレオンにここまで迫ってくる奴がおらんかったから、心のどっかで力んどるとか」
ふむ。まぁ有り得ない話ではないな。
レオンに好敵手が出来た訳だ。
まあ、それは成長を促せるから良い事だと思うんだけど、タイミングが悪い。
今日勝ったら、次決勝なんだけど?
せっかく大浦が覚醒してるのにプラマイゼロになってるじゃん。
「ま、今までレオンに大分助けられてきたからな。存分に悩んで原因究明するがいいさ。俺ちゃんは今日絶好調なので。楽しくはないけど」
楽しくはない。
けどそれとは裏腹にボールは走る。
メンタルと調子が一致しない。
よくある事だから良いんだけどさ。
その後、大浦と隼人の連続ツーベースで1点を追加。
続く清水先輩がツーランホームランで7点差。
まさかの、七回コールドである。
「レオンと喋ってたら試合が終わってた件について」
「自分が活躍してない試合でコールドとは、何か新鮮味を感じるな」
「強者の発言すぎるだろ」
ってか俺、せっかくこの不利な状況下でもノーヒットノーランしてたんだけど。
参考記録になっちゃったじゃんね。
「ま、いいか。楽しくなかったし。こういう日もあるよね」
なんか納得いかないけど、これで決勝進出である。
試合後のインタビューで恨み節連発してやろうか。
こういう事すると、更に嫌われるんだけどね。
お気持ち表明しとかないと、また同じ事されたら嫌だし。
こんな楽しくない野球は懲り懲りだぜ。
「パン、帰ったら付き合ってくれ」
「え? 俺ちゃん、今日はもう100球以上投げてるんだけど?」
「投げろとは言ってない。それは金子にやってもらう。映像解析とか色々あるだろう」
「あ、なるほどね。じゃあ父さんも呼ぼう。今日の試合も観に来てくれてたし」
「是非たのむ」
うーむ。
このちょっと焦ってる感じのレオンは新鮮だな。
初のスランプだから仕方ないか。
俺もレオンには早く復活してもらわないと困る。
俺が調子乗った時に、伸び切った鼻を折ってもらう役目をしてもらわないといけないからな。
大浦や隼人ではこの役目はこなせない。
「じゃあ、さっさと帰ろうぜ。父さんも仕事があるからそんな長居出来ないかもしれないし」
一応経営者さんだからね。
いつもサポートしてくれて有り難い限りです。
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