第214話 打撃指導


 「視線がブレてますよ」


 「もう少し顔の位置をだな--」


 現在龍宮高校では打撃改革をしている真っ最中だ。前回の試合で1点しか取れなかったからね。

 レギュラー組が出てなかったからといえ、これは由々しき事態である。


 父さんと輝夜さんが色んな部員の所に回って指導をしている。

 そして母さんは撮影係。


 「はい。良くなってきましたよ。後は体重移動ですね。腰の回転は悪くありません」


 ここ数日は悩める大砲剛元の指導に付きっきりになってる訳だが。

 剛元は一二三少年の様な天才ではない。

 ストレート系統の速い球には滅法強いが、緩い球を投げられると途端に扇風機になる。

 徐々に改善傾向を見せているが、中々時間が掛かっているみたいだ。


 「まぁ、まだ入学して一ヶ月ちょっと。そんなすぐ改善する方がおかしいんだよね」


 「一二三があっさり覚醒しちゃったからね。焦ってるところはあるんだと思うよ」


 一二三少年は例外だよ。

 あんな擬音だらけの大浦のアドバイスで覚醒するんだから。理解出来ん。

 まぁ、俺は理論的に説明されても擬音で説明されても打てないのだが。


 「速球系に強いし、差し込まれる事も少ない。やっぱりノーステップを試してみるか?」


 「中学時代に試した事があるんですけど、いまいちしっくりこなくて」


 父さんは非常に楽しそうに指導している。

 教えた事をちゃんと吸収はしてるからね。

 どこかで一気に花開くと思うんだけどなぁ。

 俺のバッティング観はアテにならないし。


 「清水君は体重移動に無駄がありますね」


 剛元の指導を父さんに任せると、輝夜さんは清水先輩のところへ。

 清水先輩はかなり真面目な人だ。甲子園で後一歩の打球が多くて悩んでたみたいで、父さんに何度も相談していた。


 最初は父さんが教えていたが、今は輝夜さんが引き継いで映像分析やら、圧力感知器等を使って指導してるらしい。


 「体重移動が早すぎるんです。もう半拍我慢出来る事が出来れば、打球はかなり飛んでいくと思いますよ」


 そこまでは分かっていた。

 練習ではポコポコ飛ばせているのに、試合になると後一伸び足りなくなる。

 それは何故か。


 「木製バットと金属バットの違いじゃないでしょうか?」


 龍宮高校は練習では木製バットを使っている。

 金属バットよりスイートスポットが小さく、ミート力向上の為に取り入れていたのだが。


 「木製では飛ばせてるのに、金属で飛ばなくなるのはおかしいんです」


 おっしゃる通り。

 本人的にはいつも通り打ってるつもりでも、微妙な違いがあるんだろう。

 重さも若干違うし。


 「少し重めの金属バットを使うか、試合でも木製バットを使ってみましょう。それで結果が出ると思いますよ」


 感覚的に体重移動が早すぎるのが分からないなら、物理的に遅らせてやればいい。

 そういう事らしい。

 もしかしたら清水先輩がホームラン量産する未来があるかもしれんな。

 次の試合で出番があるかは分からないが。でも確かめるなら早い方がいいしね。

 監督ももしかしたらスタメンで使うかも。

 次も楽しみだなぁ。



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 友達から聞き齧った事をそのまま書いてみたんですけど。作者は草野球をやってるぐらいしか経験ないですし。

 なんか難しい理論を言われたんですが、まぁ簡単に説明するとこうかなと。

 分かりますかね?笑

 

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