第192話 交流
「豹馬君を連れてきたぜー!!」
練習終わりに連れて来られたのは寮。
そこの食堂では一年生の全員が集められていた。
本当に橋渡し役をしてくれるとは。こいつ合コンとかセッティングさせたら凄そうだな。
「どうもどうもー。未来の世界一のピッチャー三波豹馬ですー」
あかん。なんか緊張してきた。
マウンドとかでは全然余裕なのに、どうしてデートやら後輩の前で緊張しないといけないのか。
まぁ、理由は分かってるんだが。
ピッチングには絶対的な自信があるけど、人間性に自信がないからね。どうしても、嫌われたらどうしようが先にきちゃう。我ながら面倒な性格してるぜ。
「三波先輩! 今日はわざわざありがとうございます!!」
おお。一二三少年の明るさに少し救われますな。
味方がいるとこんなに安心するとは。
でも心なしか、少し元気がないような? 俺の気のせいかな?
「えーっと。今日はわざわざ集まってくれてありがとうございます」
と言ったものの、今日は何をするんだろうか。
俺はとりあえず連れて来られただけで、何をしたら良いか分からないんだけど。
「豹馬君はこの誕生日席に座ってもらって! 後は各々雑談タイムです! 豹馬君の性格を知ってもらえればビビる必要なんて無いと思うんですよ!」
あ、やっぱり俺ってビビられてるんだ。
ちょっとショックですね。いつでも後輩に話しかけられてもいいようにジッと見てただけなんだけど。ちゃんと会話デッキも作ってあるしさ。
ジッと見てるのがいけないんだろうか。明日からは気を付けよう。
それからは色々な雑談を交わした。
これは主要メンバーとの会話を抜粋したものだ。
「三波先輩! 俺も昔からモンスターバウンドやってるんすよ! 良かったらフレンドになって下さい!」
野太い顔をした剛元がスマホを持って駆け寄ってくる。俺がそのゲームをやってるって良く知ってたな? ミズチ情報か? 相変わらずこういうところは気が効く野郎だぜ。
「何これ? お前もしかして廃課金か?」
「課金はした事ないっす! 無課金っすよ」
「はぁぁ。お前とは仲良く出来そうにない」
「なんでっすか!!」
なんだよ。このガチャ限モンスターの数は。
引きが強すぎるだろ。俺がガチャ運ゴミカスなのを知ってて自慢してる訳ではあるまいな? それなら戦争だぞ?
「僕をいつも睨んでるのはどうしてでしょうか?」
「プリンスの称号は渡さんぞ」
「あ、はい」
次はプリンス。
恐る恐る話しかけてきたけど、そんなに気にしてたのか。ごめんなさい。ノリで言ってるだけなんです。こういうのがイジメに繋がったりするんだろう。本当にごめんなさいね。誰も俺の事なんてプリンスなんて言わないし、王子の事はみんなプリンスって呼んでいる。プリンスの称号はお前のもんだ。
「三波先輩は彼女が出来たそうで。出来れば秘訣等を教えて頂けるとありがたいのですが」
「俺の告白はちょびっと普通じゃなかったからなぁ。参考になるかどうか。そういうのはミズチの方が詳しいんじゃないの? あいつ女癖が悪いだろ? 引っ掛ける方法なんて山程教えてくれそうだけど」
「僕は取っ替え引っ替えしたい訳じゃないんです。一人の女性と添い遂げたいんです」
「そういう事ならタイガかなぁ。あいつは中学からマリンとずっと付き合ってるし。あ、隼人もそろそろ付き合い始めて一年ぐらいになるんじゃないかな? そっちに聞いた方がタメになるかも」
お次は速水。
眼鏡をスチャっと上げて割とグイグイ聞いてくる。しかし豹馬君は恋愛弱者なので。
これから手探りで頑張っていこうとしてる所なんですよ。そういうのは熟年夫婦のタイガの所か、意外とラブラブを継続している隼人の所に聞きに行くのがいいかと。
「后先輩はともかく岸田先輩は…」
「見た目も言動もチンピラだからなぁ。口は悪いけど良い奴なんだぜ。良し。今度は隼人の事を知ってもらう会を開こう。俺だけこんな大層なことしてもらってるのも申し訳ないしな」
後でミズチにお願いしよう。
あいつは隼人相手でも普通に喋れるからな。
「三波先輩にお願いがあるんです」
「豹馬君俺からもお願いします」
そして最後はミズチと一二三少年。
どうやら何かお願いがあるらしい。
俺に出来る事なら良いんだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます