第199話 変化球講座
本日2話目ー。
間違えないようにねー。
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合宿も終盤。
俺が無理矢理勉強をさせたお陰で、とりあえず赤点組の宿題はなんとか終わらせた。
後はテスト前にもう一度詰め込んでやれば良いだろう。今回結果次第では関東大会を補習で出られないなんて事になりかねない。
方針は一年を中心に出して経験を積ます事になってるけどさ。それでもベンチに主力が居るってのは心強いはずなんだ。しっかり勉強させねば。
最近一年生のマネージャーから腐った目で見られてる。でも俺は気にしない。既にマリンでそういうのは慣らされてるんだ。
今さらそんな視線は屁でもないね。
「豹馬ってスライダーを投げ分けてるじゃん? あれってどうやってるわけ?」
本日はブルペンで投げ込み。
投手陣が全員集まり、コーチとして輝夜さんがいる。父さんと母さんは最近、剛元と速水の打撃改革にお熱なのだ。鍛え甲斐があると言ってたから、将来性もあるんだろう。勿論、他の部員への指導も忘れていない。控え組もグイグイ実力が伸びてきて、龍宮高校のパワーアップが止まりません。
「俺的にはスライダーとカットで分けてる感じなんすけどね」
名前がカッコいいからスラッターとスイーパーって言ってるけど。
本質的にはそうだと俺の中で思ってる。
「去年チェンジアップを覚えて、それなりにモノになってきたからさ。ここらで新しい変化球を覚えれるなら手を出そうかなと思ってさ。全く新しい球種ならともかくスライダーの投げ分けならなんとかなるかなと思ったんだけど」
キャプテンの向上心が凄いな。
流石ドラ1志望なだけある。俺も負けてられない。
「じゃあ軽く教えますけど。調子を崩したり、他のボールに悪影響を及ぼしそうなら諦めて下さいね?」
「それは分かってるさ」
って事で実演。
何球かスラッターとスイーパーを投げる。
「本来カットはほとんど変化しないんですよね。バットの芯を外して打ち取るのが目的ですし。でも俺はサイド気味から投げてるんで、思ったよりも曲がって空振りが取れるんですよ。この点はキャプテンにはあんまり参考にならないかもしれないです」
「ふむふむ。意識してる事は?」
「球速ですね。ストレートとの球速差がなるべくでないように気を付けてます。その辺は握りで調節できるかなと思います」
握り方をキャプテンに見せつつ、俺が意識してること、気を付けてる事を話していく。
「なんか豹馬が真剣に話してるのって新鮮だね」
「野球の事になると真剣なんですよ。俺はそんな豹馬君を尊敬してるんです」
金子とミズチがこちらを見てコソコソと話してる。普通に聞こえてるぞ? 俺は野球以外でも真剣に取り組んでる。勉強も恋愛も。全部大真面目なんだが?
「ちょっと投げてみる」
握りを確認してたキャプテンが早速カットを投げる。球速は…。うーん…。
「その球速なら投げない方がいいっすね」
「だよね。これじゃあ打ち頃の曲がり幅の少ないスライダーと変わらないよ」
「まぁ、まだ投げ始めたばっかりですし、ちょっと試行錯誤してやってみましょう」
それからも何球か投げてみるが、中々しっかりしてない様子。
こればっかりは感覚的な部分もあるからなぁ。
「少し良いかな?」
そこで声を掛けてきたのは、これまで黙って俺達を見守りつつデータを取ってた輝夜さん。
何かのキッカケになるかもしれないし、アドバイスは大歓迎ですぜ。
キャプテンはちょっと緊張してるけど。
どうやら美人の対応をどうしたら良いか分からないらしい。
コーチに就任した時に聞いた話によるとキャプテンのストライクゾーンど真ん中だそうだ。
これは恋のキューピッドになるべきなのだろうか。
でも、俺が変に首を突っ込んで仲が拗れたりするとなぁ。恋愛強者な訳でもないしさ。
迷い所です。まよいマイマイ。
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読者様からのお星玉待ってます。
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