第198話 GW合宿


 あけおめ。ことよろ。

 作者からのお年玉。

 本日2話更新です。


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 四月の末に春季東京大会が終わって、すぐにGWに突入した。

 俺達は長期休みの恒例になりつつある合宿がスタートしていた。


 「ふぎぎぎぎっ!」


 「はい。そのままキープして下さい。そのままの姿勢ですよー」


 この合宿からコーチとして参加し始めた輝夜さんが早速練習メニューを組んでくれた。

 母さんが用意するメニューよりかなり詳しく書かれてある。

 輝夜さんはこれをなんと部員全員分用意してきたのだ。母さんも手伝ったらしいけど、それでもすげぇ。


 「はい。1分休憩でーす」


 「ぷひぃー」


 龍宮高校には母さんが一年見てた事もあって、女だからと侮る様な部員はいない。

 それどころかアメリカ帰りって事でかなりみんなから期待されている。

 どれだけ凄いのか分からなくても、アメリカ帰りってだけで、なんか凄いんだろうなって思うんだろう。スポーツ馬鹿の脳みそなんてそんなもんだ。


 「豹馬君は体幹がまだまだですね。細いから仕方ありませんが、体幹がしっかりしてないと、筋トレでも怪我してしまいますし、まずはそこからです」


 「マジですか。結構自信あったんすけど」


 「体が大きいですからね。どうしても軸がブレやすくなってしまうのです。ですが焦ってはいけません。その歳と身長にしては充分すぎるくらいですよ」


 「頑張ります」



 その日の夜。

 足を小鹿の様にプルプルさせながらも勉強する。

 少ないながらも宿題を出されてるんだよね。

 GWが終わったらすぐに中間テストだし、こっちにも力を入れないと。


 「何故いつもギリギリの点数を取ってる貴様らが遊んでるんだ?」


 「い、いや…。あははは」


 食堂でいつも赤点ギリギリのメンバーがトランプをして遊んでいた。

 一応勉強道具を広げてるのはせめてもの対抗か。


 「隼人なんて補習喰らった事あるよね? なんでそんな余裕なわけ?」


 「………」


 「君に黙秘権はないぞ」


 目を逸らして喋ろうとしない隼人。

 くすくす笑ってるタイガとウルも同罪だぞ?

 お前らもギリギリなんだから。


 「はいはい。トランプ片付けて。勉強するよー。どうせテスト前になったら泣きついてくるんだから、今のうちに少しでも詰め込んでおかないと。あれ? マリンは?」


 ギリギリ常習犯のマリンが見当たらない。

 あいつはやれば出来る筈なんだよ。板書も綺麗に取ってあるしさ。なのにやらない。だからギリギリ。いつも大体タイガと一緒にいるのに見当たりませんぞ。


 「マネージャーと交流してるよ。新入生にも結構増えたし、この機会にって」


 ふむふむ。それは邪魔する訳にはいかないな。

 マネージャーも大事な仕事だし。いつも俺達が気持ち良く野球が出来るようにサポートしてくれてるんだ。ありがたいよね。


 「なんかいっぱいノートを持ってたよね? もしかしたらみんなで勉強してるのかもしれないよ?」


 ウルがここに来る前に見かけたらしい。

 なんと。あのマリンが自ら勉強をするとは。

 後輩の前で良いところを見せようと思ったのかな? なんにせよ良い事だ。



 ………そのノートって布教本じゃないよね?

 新入生を毒牙にかけようとしてるんじゃなかろうか。もしそうなら待ったをかけたい。


 「もう手遅れだよ。今年は順調だって言ってたし」


 チラッとタイガを見ると俺の意図を汲み取ったらしい。そして手遅れらしい。

 ちょっと。君の彼女なんだからしっかり手綱を握っておいてくれよ。


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 5分後にもう1話更新しまーす。

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