第300話 夜のニュース
「ふんふんふふふ〜ん♪」
「うぜぇ」
「神様。なんでこんな奴に野球の才能を与えたのですか」
試合が終わった日の夜。
俺はテレビの前の最前列を確保。
今か今かとスポーツニュースを楽しみにしている。1.2回戦は出番がなくて、羨ましく見てるだけだったけど、今日はそうじゃない。
九回一安打23奪三振。自画自賛させてもらうが、中々神がかった記録だ。完全試合もしてたら更に凄かったんだろうが、それは仕方ない。
で、こんな結果を残したんだから、さぞかしニュースではいっぱい映してもらえるだろうと、テレビの前でスタンばってる訳だ。
隼人はうざそうにしてるし、タイガはなんか神に訴えかけてるけど。そんなの全然気にならないね。
まあ、神…管理者みたいなのとは邂逅した事あるけど。一応才能とかはもらってないと思うよ? 元から怪我する前の前世の俺が凄かったのです。
………怪我しない環境で永遠と練習出来たのはチートか。それに父さんの野球遺伝子的なのも引き継いでるかもしれん。打撃の方は引き継がれなかったが。
それはさておきだ。
まもなくニュースが始まるから、俺はワクワクしてますよって事だ。
「始まった!」
男女のアナウンサーが軽快なトークでちょろっと雑談した後にスポーツニュース。
サッカーとかその他スポーツのニュースを終わらせて、いよいよ野球。
プロ野球の方を先にして最後に高校野球。
『今日の高校野球は凄かったですねー! なんと言っても三波君。あの三波勝弥の息子さんという事で、春のセンバツでも大いに沸かせました』
『春のセンバツでは完全試合も成し遂げた三波君ですが、今日の試合でもやってくれました。ハイライトを見ながら話していきましょう』
「むふー!」
大満足! 既に大満足ですよ!
初っ端からよいしょよいしょのしまくりである。もう俺の鼻がどこまでも伸びていっちゃうぞ?
『一回表から登場した三波君。まずはパフォーマンスで観客を沸かせます』
あーはいはい。
フーッとしてギュンね。結構しっくり来たんだけど、タイガにやめろって言われたんだよなぁ。パフォーマンスって言うのはやめてほしいね。一応真剣だったんだけど。なんか遊んでるみたいな感じがしない? まあ、いっか。
『三者連続三振で絶好のスタート。150キロを超えるストレートにキレのある変化球で、昨年優勝校の正徳を寄せ付けません』
『しかしここからが三波君の快進撃の始まりでした。なんと打者一巡、三回終了まで全打者から三振を奪い9者連続。三波君の投球術に全く手が出ません』
『そして迎えた四回表。ここまで甲子園の記録は10者連続三振が最高記録でした。果たして三波君はこの記録に並ぶ事が出来たのか、そして塗り替える事が出来たのか。ここで一旦CMを挟みます』
「すっげぇ」
俺だけで尺を結構使ってるぞ? 大丈夫か、これ? なんか忖度入ってる? 俺は結構大人ウケが悪いはずなんだけど。
「思った以上に使ってもらえてるね」
「調子に乗りすぎなきゃ良いんだがな」
タイガと隼人はテレビを見て、ちょっと複雑そうな表情をしてる。確かに、タイガと隼人は今日の試合でホームランを打ったのに、結構サラッと流されたからね。
レオンはエラーをしたバツの悪さから黙って見てる。気にしてないのに。いや、嫌われてるのかなって気にしてたけど。
「うへへへ。流石豹馬君だぁ」
ミズチはなんかトリップしてる。試合が終わった後に連絡が来てた弾呉四男の四季君みたいだ。あの子も凄い長文で来てたから。なんで俺はこういう子に好かれるんだろうか。
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