第266話 好きな球団
「東海大に二点取られてるようじゃプロに行っても苦労するよね」
「まあ、それはそうですけど。高卒のドラ一は素材もそうですけど、将来性も重視されますから。現時点での実力に落ち込む事はないかと。体が成長すればもっと伸びると思いますし」
タイガとドラフト云々の話をしてると、室内練習場にキャプテンがやって来た。さっきまで東海大の試合映像を見て反省してたらしい。そしてちょっぴり落ち込んでいる。
キャプテンはドラ一を目指してるからな。
輝夜さんに告白云々もあるんだろうけど、純粋に野球をやってる人の一種の分かりやすい目標である。プロ入りだけじゃなくて、ドラ一が目標。意識が高くてよろしい。
まあ、俺はドラ一は通過点で完璧な成績を残して最短でメジャーに行って、毎年サイ・ヤング賞とMVPを取るのを目標にしてますがな。わはははは。
「スカウトさんは結構来てますよね?」
「来てるけど…。ああいう人達ってみんなに同じような褒め言葉言ってるでしょ? なんか素直に受け取れないんだよね」
それは仕方ない。
具体的な事は言えないルールだしね。
挨拶ぐらいしか出来ないのが現状だ。
「因みにキャプテンが行きたい球団とかはあるんですか?」
「いや、特には。強いて言うなら横浜コスモかなぁ。ファンだし」
「へぇ。キャプテンは横浜ファンだったんですね」
それは知らなかった。そういえばみんなのファンの球団とか知らないな。
シニア組と俺は父さんの古巣のパンサーズファンだ。ここで東京のもう一つの人気な方のファンじゃないあたり、俺達はちょっとひねくれてるなって思います。
「パンはやっぱりパンサーズに行きたいの?」
「そりゃな。望み薄だけど」
ファンだし父さんの古巣だし、出来れば俺はパンサーズに指名されたい。でもパンサーズは多分指名するとしたらレオンだ。
最近のパンサーズは投手陣は滅茶苦茶良いんだけど、打撃がちょっとイマイチ。それに父さんの後継者的な存在が出て来てないのを気にしてる。そこにピッタシな人材がレオンだ。
同じポジションでホームランも打てて、本人も父さんとパンサーズファン。こんなピッタシな人材を逃すとは思えない。
まあ、俺も息子って事でパンサーズファンから来て欲しいみたいなのはあるんだけど。
チーム事情とか考えるなら無理じゃないかなぁって思ってます。
「俺はポスティングを容認してくれて、背番号15をくれるところならどこでも良いや」
「じゃあ東京の人気球団のユミルズは無理だね」
あそこは無理だなぁ。福岡ファルコンズも無理だろう。ユミルズとファルコンズは正直あんまり行きたい球団じゃないから良いけど。
野球を見てる分には面白いけどね。
強い選手をいっぱい集めて、僕が考えた最強チームみたいな感じだし。
それでもユミルズは内部での派閥闘争が激しいし、ルールもめんどくさい。紳士たれって言ってるのに不祥事の多さはトップじゃないですかね? 知らんけど。
ファルコンズは基本的にあのやり方が好きじゃない。とりあえず育成選手の青田買いはやめてください。
「指名されたらどうするの?」
「うーん…。直接メジャーに行くかなぁ」
考えたくないけどね。
出来れば日本経由して行きたい。
早いうちからメジャーに行っても、安く都合の良いように使われるし。
それでもポスティングさせてくれなくて、長い間メジャーに行けない方が嫌かな。
「まあ、ポスティングさせてくれないら行きませんって言ってあるし、大丈夫だと思いたいけど。海外FA権取得は時間が掛かりすぎる」
まっ、今の段階で考えても仕方あるまい。
まだ俺達は一年も先の話であるからして。
キャプテンは次の試合で挽回するしかないね。東海大は全国で通用する打線だと思うけど、ドラ一を目指すならそんな打線もしっかり抑えないとね。
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