第267話 試合観戦


 龍宮対創英の準決勝が神宮であった日の翌日。

 俺達はまた神宮にやって来て、松美林対三高の試合を見に来ていた。


 因みに俺達は8-3で創英に勝利して、決勝進出を決めている。先発にミズチを持ってきて、六回三失点。七回からは俺が投げてシャットアウトだ。


 打撃陣はホームランこそ出なかったものの、先発野手全員安打で好調。

 良い気持ちで決勝戦を迎えられるだろう。


 「やっぱり三高かな」


 「だなぁ」


 試合は既に七回まで終わって5-1と三高がリード。先発は霊山で春よりも更にレベルアップしてる印象だ。白馬君を三打数一安打に抑えている。その一安打がタイムリースリーベースだから、抑えてるって言えるのか怪しいところだけど。


 でもあの白馬君を一安打に抑えてるなら充分だろう。あの人のバットコントロールは高校No.1なんじゃないかって思う。


 「霊山がだるいなぁ。アンダースローで140キロ超えってバグだろ。まだ高校生だぞ」


 プロならまだしも高校生。

 あの浮き上がってくるような球で140キロ超えられるとたまったもんじゃない。

 まあ、俺はどっちにしろ打てないからそんな事考えても仕方ないんだが。


 「あ、ピッチャー変わったな。三年生の人だ」


 「あの人がエースナンバー背負うと思ってたんだけどね」


 「霊山が実力で勝ち取ったんだろ。ムカつくけどその実力はあるからな」


 ムカつくけどな。大事な事だから二回言いました。でもやっぱり三高は層が厚いなぁ。

 当たり前の様に控えでもエースみたいなのが出てくる。


 今霊山に代わって出てきた三年生の人も、去年からバリバリ活躍してて、夏の甲子園でも投げてる。今年も霊山と二枚看板でこの大会を勝ち抜いてきてるんだ。


 「決勝も霊山かな」


 「だろうな。こっちはピッチャーが四枚居るから疲れはほとんどない。うちの方が断然有利だよ」


 まあな。俺も昨日の試合は30球ぐらいしか投げてないし。てか、この大会で登板したのも二回しかない。体力は有り余ってますぜ。

 夏はどれだけ温存出来るかが重要だからなぁ。


 「霊山と真っ向から投げ合ってボロクソにしてやりたかったけど、残念ながらリベンジに燃えてる人が居るからな」


 「春季大会の結果だけじゃ物足りないみたいだね」


 明後日に行われる予定の決勝戦。

 先発はキャプテンだ。


 去年は夏の大会三高戦で悔しい思いをした。その雪辱は春の大会で完封という結果で晴らしたと思ったんだけど、やっぱり春と夏では重みが違う。やる気満々なので、俺も駄々をこねるのを控えました。


 「俺、この大会全然活躍してない」


 「パンに頼らなくても龍宮には良いピッチャーが居るからね」


 それは良い事なんだけどね。

 もうちょっとアピールしたい。このままじゃレオンにドラフト指名数で負けちゃうよ。

 最近は大浦なんて対抗株も出て来てるしさ。


 「決勝は多分キャプテンが初回から飛ばしての継投になるでしょ。その時に思う存分活躍してくれたら良いよ。調子に乗って打たれないようにね」


 「キャプテンの出来が良すぎたら出番がないかもしれんがな。良い事だけど」



 試合は結局三高の勝利で終わった。

 白馬君との勝負はプロまでお預けだな。


 

 

 

 

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