第265話 ベスト4
準決勝の相手は創英に決まった。
これも去年の夏の大会で戦ったな。
去年は三年生が粒揃いで強いチームだったなぁって印象。まあ、俺ちゃんが奪三振ショーを披露しましたけどね!
今年は去年ほどタレント揃いって感じじゃない。平均的にレベルが高いなって感じ。
言ったら悪いけど、東海大の方が強いんじゃないかなと思う。毎年コンスタントにこの辺までは上がってくるけどね。
その先が中々…って感じ。
なんだったらダイジェストで仕留めてやろうかなんて思ってます。
「で、向こうが松美林と三高か」
漆黒の白馬VS伊集院霊山だな。
下馬評では圧倒的に三高優勢だけど。
「言ったら悪いけど、松美林って白馬君以外は驚異じゃないんだよね」
「だな。霊山がその選択をするか分からないけど、白馬君を全部敬遠したら楽に勝てると思うよ」
まあ、白馬君は塁に出しても厄介だけど。
それをしても三高の有利は変わらないと思うな。あそこはピッチャーには霊山が居るし、打撃陣も白馬君タイプの柳生って奴が居る。
それ以外にも強力な選手が揃ってるし、流石に松美林はここまでかなぁって思うな。
「白馬君と戦いたかったような、そうじゃないような」
「これで最後だもんね」
そうなんだよ。結局打たれたなって印象しかないんだ。勝ち逃げされた感じ。
いや、まだ松美林が三高を破って決勝に来る可能性はあるし、俺達が創英に負ける事もあるから、先の事を考え過ぎって言われたらそうなんだけど。
「プロには行くのかな?」
「どうだろうな」
室内練習場でタイガと柔軟しながらお喋りしてるんだけど、タイガは白馬君がプロに行くかどうか気になるらしい。
白馬君と連絡を取り合ってるけど、プロからスカウトはちらほら挨拶に来てるらしい。
でも知名度がそこまでない。甲子園には一回も出てないし。
まあ、ここだけの話、一球団は指名するって分かってるんだけど。
父さんの古巣である東京パンサーズである。父さんは引退してるけど、まだ古巣にツテはあるわけで。
偶に観客席でパンサーズのスカウトと話してて、白馬君を激推ししてるから。
パンサーズは怪我とかしない限り、下位でも支配下で指名すると言ってるらしい。
それを俺に聞かせて良いのかと思うが。
高校野球って色々規約があったりして面倒なんだよね。それが選手を守る為でもあるし、金持ち球団の好きにさせない為でもあるから仕方ないとは思うけど。
それでも今でも結構黒い事をしてるところとかあるらしいからね。
「タイガは? 高卒でプロはどうなの?」
「どうだろうねぇ。高卒のキャッチャーって、どうせ何年かは二軍で塩漬けにされるし。でもここの野球を知ったら、大学野球でやってける気がしないんだよね」
まあ、タイガがプロ志望届けを出したらどこかしらに指名はされると思う。でもキャッチャーは競争率が激しい。その分一度レギュラーの座を掴んだら、結構安泰なんだけど。
「社会人って手もあるぞ。あれなら最短三年でプロ志望届けを出せる」
「隼人はその気だよね」
隼人は何巡目指名までにプロ入り出来なかったら、社会人に行くってルートを目指してるらしい。今のランナー無しで打てる隼人なら上位指名もありえると思うけどね。
あいつは家庭の関係でとにかく早く稼ぎたいって思ってるからな。チンピラみたいな見た目をしてるけど、家族思いの良い奴なんです。
「ま、後一年あるしゆっくり考えるよ」
だな。タイガや隼人だけじゃなくてウルもそうだし。あいつはどうなんだろ。
あれはなんやかんや大学でもやっていけそうな気がするなぁ。
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