第40話 伊集院霊山
☆★☆★☆★
「あれ? 豹馬の野郎、点取られてるやん。だっせ。これは世代No.1ピッチャーの称号は僕のもんかな」
伊集院霊山。
豹馬と同期で、シニア全国優勝チームのエースである。
豹馬のチームは、このチームに準決勝で敗れベスト4に終わっていた。
彼は様々な高校からスカウトを受けていたが、東京の名門日本三高に進学し、一年生で唯一ベンチ入りしていた。
「相手は…あぁ、白馬のとこか。あいつはなぁ。うん。しゃーないか、どえらいバッターやしな」
三高は、練習試合で松美林と戦っており霊山はそこで、3打数2安打1ホーマーと打ち込まれていた。
「次は待ちに待った、豹馬との再会や。僕も投げさせてくれへんかなぁ」
三高は名門なだけあり、選手層が厚い。
3年2年にそれぞれエース格の選手がいる事もあり、中学の実績があってもなかなか出場機会に恵まれていなかった。
「わざわざ、大阪の桐生を蹴ってまで東京きたんや。今度こそしっかり白黒つけたるで」
伊集院霊山は燃えている。
中学最後の大会では投げ合う事が出来なかったので、いくらチームが優勝したとしてもピッチャーとしては勝ったと思っていなかった。
尚、次の試合。
豹馬が投げる予定はない。
間が悪い男。それが伊集院霊山である。
☆★☆★☆★
「うわっ。霊山から連絡来た。次の試合楽しみししてるって。俺、投げないのに」
懐かしい奴から連絡が来たもんだ。
中学時代は右の伊集院、左の三波って結構騒がれてたぐらいには有名である。
霊山とは何故か一度も投げ合った事がない。
初めて対戦したのは中学2年の頃なんだが、その時向こうは足の捻挫で試合に出てなかった。
最後の大会で、No.1対決なんて周りは盛り上がってたんだが、前日に俺が高熱を出して実現せず。
それからも、事ある毎にやたらと絡んでくる。
そして、今回。
またしても対決は実現しそうにない。
まず、あいつがベンチ入りしてる事すら知らなかった。
三高のエースが物凄いのでそちらに集中していて、1年メンバーまでに気が回ってなかった。
「パン? なんかあった? 苦い顔してるけど」
「いや、霊山から連絡があってな。次の試合楽しみにしてるって。ほんと、間が悪いよな」
「あー、あいつかー。そういえば、三高に行くって言ってたね。桐生に行けば良かったのに」
「まぁ、あいつが出て来てもレオンが打ってくれるよ。相性バツグンだし」
タイガと喋りながら部室に向かう。
今日は次の対戦相手の三高の作戦会議だ。
因みに、レオンと霊山の対戦成績は3打数3安打3ホーマーとカモにしている。
それでも中学3年は負けたんだよなぁ。
俺が投げてたら勝ってただろうけどこれは、体調管理出来てなかった俺が悪いですね、はい。
「それよりも3年の菊池だよ。160キロ出したって?」
「みたいだよ。いやぁ、最近は日本でも平気で160キロ投げるピッチャーが増えてきたねぇ。一昔前は150キロで大騒ぎだったのに、今はなんか一つの基準みたいになってるよね」
まぁ、確かに。
日本はアメリカからの技術を10年遅れぐらいで採用するからなあ。
ようやっと、無意味な練習も減ってきたところだ。
なんか新しい技術を取り入れるのを嫌がる傾向があるよね、日本って。
外国は使えるものはすぐ試してみる印象がある。
昔ながらの練習方法が通用しなくなって困る人達がいるからだろうねぇ。
こういう所は日本の悪い所だと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます