第105話 冬の始まり
対外試合禁止期間に入った。
これからは約4ヶ月、地獄の練習が待っている。
「その前に期末テストがある訳だが」
十二月初旬。
まもなく冬休みで浮かれてる所悪いんだけど。
補習で時間取られるとか勘弁だからね。
地獄の練習前の休暇の意味も込めて勉強会だ。
「大浦って意外と勉強出来るんだな」
「そりゃ、スポーツ科でもなく一般入試で入ってきてるっすから。最低限は出来るっす」
「うちには最低限も出来ない人が多すぎるんだよなぁ」
「でも教えれる程じゃないっすし、点数は上がるに越した事はないっすから。勉強会も参加してるっす」
「おい、聞いたか馬鹿ども。お前らも見習って少しは自主的に勉強してくれ。毎度毎度ギリギリのラインを狙いやがって」
タイガ、ウル、隼人、マリン。
見事に推薦で学校に入って来た奴らだ。
マリンは一般で入ってきたから地頭は悪くないんだけどな。
こいつらは龍宮の授業が結構自主性に任せてる所もあって、ほとんど寝てるか、ゲームして過ごしている。
「甘えすぎじゃない? テスト前になる度に勉強会開いてる気がする」
「なんだかんだ、パンは教えてくれるからね」
「分かりやすいしなぁ」
「教えるのが上手いから。先生の話聞くよりパンに教わった方が点数取れる気がするんだ」
ふむふむ。仕方ない奴らだな。
そこまで言われたら教えてあげるしかない。
我ながらチョロい人間だぜ。
「えー、豹馬っち、ちょろいっすよ」
分かってる。嘘でも褒められたら嬉しいんだ。
困った性格だと自分でも思ってます。
「じゃあ英語からやるか。暗記系は自分で頑張ってくれよ」
「はい、今日はここまで。家に帰ってもしっかり復習するように」
結局、18時過ぎまで勉強をして、集中力がなくなってきたのでここまで。
一回やり出したら、みんなちゃんと理解してくれるんだけど、なんでこいつらは普段からやらないのか。
「あれ、そういえばレオンは?」
「あいつは父さんの所に行ってる。木製バットデビューだからな」
今までレオンは練習でこそ、木製バットを使っていたが、試合では金属バットを使っていた。
金銭面の事もあり、試合では控えてたみたいだけど、今は自分でバット代ぐらいは稼げるからな。
株取引様々です。
チームで用意するって事でも良かったんだけど、プロを見据えてるなら、自分専用の手に馴染んだバットの方がいい。
「って事でアドバイスを貰いに行ってるな。まだ家に居るんじゃないか?」
「よーし! じゃあみんなでパンの家に飯食いに行きますかー! 寒いからお風呂にも入りたいし!」
「いいっすね! 俺も行くっす!」
「僕もー!」 「私もー!」
「あ、わりぃ。俺この後、彼女と飯食いに行く約束してるんだわ」
「おおー。そうか。じゃあ隼人以外で向かうとしますか!」
けっ。デートってやつですか。
お熱いこって。末長く爆発して下さい。
……いや、待てよ。
レオンが家に居るって事は渚ちゃんも家に来てる可能性があるんじゃなかろうか。
おばさんもお食事処で働いてるし。
これは急いで帰らねば!
あわよくば、クリスマスの約束を取り付けちゃったりしちゃったり?
「なんか、パンが急ににやけだしたよ」
「どうせしょうもない事考えてるんだよ。ほっといて向かいましょ」
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初めてという事でお試しの短めですが【サイコパス】の短編? 的なのを書きました。
妲己ちゃん日記1をお楽しみ下さい!
後、X始めました報告の近況ノートも更新しましたよって。
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