第106話 レオン打撃改革
「たでーまー」
「「「「お邪魔しまーす!」」」」
「あら、いらっしゃい」
勉強終わりが終わり帰宅する。
家の方には母しか居なかった。
「レオンは?」
「レオン君とあの人ならもう店舗の方に向かったわ。ご飯食べてるんじゃないかしら? 神奈と渚ちゃんも居るわよ」
「じゃ、俺らもそっちに向かうか」
レオンと父さんはもう話は終わったのかな?
どんなバットにしたか見たかったんだけど。
そして、案の定渚ちゃんもいるらしい。
どうやってレオンを躱して渚ちゃんにお誘いをかけるか。
まっ、普通にSNSで連絡すれば良いんだけど。
せっかく会うなら直接言いたいよね。
「やっほー! お疲れさーん!」
「ん? おお、帰ってきたのか。丁度良かった」
店舗のお食事処に行くと、レオンと父さんが何やら真剣な顔で話し込んでいた。
有名人が普通に居るけど、ここのお客さんは慣れてるからか騒ぎにもなってない。
結構な頻度で居るからね。
偶に、知らなかった人がサイン求めたりしてるけど。
「丁度良かった? 何かあった?」
「んー、とりあえずご飯を食べよう。食べに来たんだろ? ご馳走するよ」
「「「「あざーす!」」」」
俺の家の店舗でご飯を食べる時は、俺が誘えば無料、タイガ達から誘えばお金を払う暗黙の了解がある。
流石に毎回ここで無料提供は周りの目もあるからね。
今日は父さんが払ってくれるらしい。
「それで? なんなの?」
「レオンのバッティングフォームの事だ」
ご飯を食べ終わって、一息ついた頃。
何かあったみたいなので聞いてみると、レオンの事だった。
バッティングフォームねぇ。
俺にアドバイス出来る気がしないけど。
「レオンは、パワーは勿論あるけど、何より凄いのは芯に当てる技術だ。これは下手したら俺の現役時代より上かもしれない。しかし、練習で使ってるとはいえ、まだ慣れない木製バット。差し込まれる事も増えてくるんじゃないかと思ってな。ノーステップ打法をおすすめしてたんだ」
「んー? それって飛ばなくなるんじゃないの? 差し込まれるなら辞めた方がいいんじゃね? ノーステップって変化球に対応する打法じゃないの?」
知らんけど。
正直打撃センスがないから興味ないし。
「それは人によるな。ノーステップにすると体重移動が難しくなるから、人によっては飛ばしにくくなるだろうけど、目線がブレにくくなるし、体の軸も安定するからな。足腰がしっかりしてれば、長くボールも見れるしレオンには合ってると思うんだよ。それにこれから冬で色々弄りやすいからな。下半身を重点的に鍛えれば、ある程度はモノになるはずだ」
「じゃあやれば良くないですか? 迷う事ないと思うんですけど」
「そうなんだけどね。レオンは不安みたいで…」
大人しく話を聞いていたタイガが口を挟んだが、レオンが不安?
俺には常に自信満々に見えるんだけど?
スランプ気味になった時は若干焦ってたかなと思ったけど。
「気持ちは分かるよ。今のフォームでも十分成功してるし、これからも成績は残せると思う。それを一旦崩せって言ってるんだからね」
「なーるほど? って事は俺は投げればいいのかな?」
「うん、とりあえずお試しでやってみようかって事でご飯の後に俺が投げる予定だったんだけど、豹馬が帰ってきたし、大浦君も居るからね。左右両方いるのはありがたい。俺もノーステップ打法を無理矢理やらせたい訳じゃないしな。もしかしたら壊滅的にレオンには合わないかもしれない。でも上手く合致すれば、今以上の成績を残せると思ってるんだよね」
ほへー。レオンも人の子だったんだねぇ。
俺も今からこっちの方が良いからって、ピッチングフォームを変えろと言われたら不安になるしな。
「じゃあ、室内練習場行くか。みんなはどうする?」
「行くに決まってるじゃーん! 普通に気になるし!」
「俺もー」 「僕もー」
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