第4話 打者との対決


 「メジャーの最強バッターでお願いしまーす」



 本当にそんな設定出来るんか分からないけど、今まで野球関連の事ならなんでも叶えてくれたしね。

 出来れば、知ってる選手とかにしたかったけど、人の名前が思い出せない。

 憧れの選手とかもいたはずなんだけど。


 とりあえず投げてみよう。

 ロボットキャッチャーは配球とか考えてくれないので、自分で組み立てないといけない。

 自分で配球組み立てるのは苦手なんだけどね。

 レベルアップの為に頑張りますか。


 まずは初球。

 王道のアウトコースにストレート。

 まぁ、見逃してくるだろうと思い、普通に投げ込む。

 しかし、予想に反してあっさりと打たれる。

 打球的には、レフト前ヒット。

 因みに相手は、右打者である。普通に引っ張られてる…



 「えー…マジで? 当たり前に打つじゃん。安直過ぎた? とりあえず守備の選手も呼び出してみよう」


 球速は160キロ出ていた。

 コースも悪くなかったと思うんだが、これがメジャー最強クラスという事か。

 まぁ、まだ始まったばかり。

 時間は永遠と思う程あるんだし、胸を借りるつもりで挑戦させて貰いましょうかね。



 とりあえずもう一回アウトコースにストレート。

 今回はボールになってもいいのでゾーンギリギリを狙っていく。

 ロボットバッターはピクリと反応はしたが見逃してきた。

 判定はストライク。

 そういえば、いつ出したかもはや覚えていないがロボット審判も出している。


 それはさておき。

 今回は見逃してきたな。

 ボールだと思ったのか、それとも最初の打席はやはりヤマを張ってたのか。

 2球目はインハイにストレート。

 対角線を使うのはまたもや王道なのだが、とりあえずは試していきたい。

 そして、これも見逃してストライク。

 バッターはのけぞっていたが、結構リアルに反応するんだなと思った。

 3球目は高目からボールゾーンに外れていくナックルカーブ。

 さっきのストレートが頭に残っていれば、手が出るだろう球だ。

 そして、予想通り空振り。三振である。


 「あー、気持ちいい。アドレナリン的なんがドバドバ出てくる。しかもメジャー最強クラスのバッター。たまんないね」



 やはり、三振は良い。

 相手が生身の人ではないので表情はわからないが、それでもだ。

 このゾクゾクする征服感の為に野球やってたんだと改めて実感した。

 もっと色んなコンビネーション試してみよう。

 左打者相手にも試してみたいし、新しく習得した球種も本当に通用するのか、しっかり検証していきたい。





 流石というべきか、同じようなコンビネーションはすぐにアジャストしてくる。

 打席の前に立ってナックルカーブを拾い上げられてホームラン打たれた時は、開いた口が塞がらなかった。

 それでも、チェンジアップで三振奪って、バッターに尻餅つかせた時は爆笑してやったが。

 勿論、実際の試合ではそんなリスペクトに欠けた行為はしないが。

 悪い顔でニヤけてた事はあるらしい。

 その時の相棒のキャッチャーに言われるまで気付かなかった。

 ここでは俺しかいないので良いのだ。



 「スラッターもスイーパーもやっぱり配球読まれてたら打たれるなー。ヒットゾーンに飛ぶかどうかはともかく、これがメジャーという事かね。ツーシームはマジで打たれないんだが」


 初見殺しは成功するんだけど、すぐに修正してくる。

 理想は分かってても打たれない事なんだけどな。

 理想は理想という事なのか。

 ツーシーム級の魔球があるだけ幸せか。

 何かで見た「どれだけ良い変化球があっても、ストレートが糞じゃ意味がない」みたいな格言があった。

 誰が言ってたかとかは思い出せないが。

 もしかしたら漫画だったかもしれん。

 とにかく完璧に抑えられるまで練習あるのみである。

 クイックの練習もしたいし、牽制の練習もしたい。

 ピッチャー周りの守備の練習も疎かには出来ない。


 

 いつまでこの時間が続くかは、自分自身全く分かっていないが、やる事もないのでとにかく練習を続けようと思う。

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