閑話 レオンとの出会い1


 これは俺がまだ中学生になったばかりの時の話。


 シニアは基本的に土日祝しか練習が無いので、平日の学校がある日は、俺の家で何人かで軽く練習しようと、タイガ達を誘って帰ろうとしてる時だった。


 「ふんふんふーん! ん?」


 鼻歌を歌いながら、中学のグラウンドの野球部体験入部の所で、ジッと練習を見ている男の子が居たのを見つけた。

 入部でもするのかなと、みんなが来るまで俺もそちらを見ていたが、ただ練習を見ているだけで他に何もない。

 初心者で気後れしてるのかと、ちょっとお節介してあげようなんて思いつつ声を掛ける。


 「ねぇ。野球部入るの?」


 「む? いや、見るのは好きなんだが、やった事は無くてな。初心者でも入れるものなのかと考えていた所だ。それに…いや、なんでもない」


 「ふーん? 初心者でも全然楽しめると思うけど。どこまでガチでやるかによるよね」


 「ふむん。君は、えーっと?」


 「おっと。三波豹馬って言うんだ。好きに呼んでくれ。君は?」


 「浅見レオンだ。それで、豹馬は野球部なのか?」


 「いや、違うよ。俺はシニアっていう別の所でやってるんだ」


 「シニア?」


 初心者なら分からなくても無理はないか。

 せっかくだし、今日の練習に誘ってみようか。

 ガチでやる練習でもないし、迷ってるなら実際野球をやってみてから判断しても良いだろう。

 なんか面白そうだしね。


 それからおれはシニアについて説明しつつも、今日俺の家で軽く練習するのに誘ってみる。


 「それは良いのか? 本当にキャッチボールすらやった事無いんだが」


 「良いよ良いよ! そんな難しい事しないし! もう少し待ってて! そろそろ他の奴らも来ると思うし」


 それからタイガ達が来るまでの10分程、お互いの事を知る為に色々話した。

 住んでる所だったり、妹の事だったり。

 ………妹談義がほとんどだったな。


 「やほー! お待たせー! おろ? 友達?」


 「お、来たな。こちら、浅見レオン君です。野球部の練習を見てたので声掛けちゃいました。野球初心者で野球部に入るか悩んでたので、とりあえず今日の練習をやってみたらと誘ってみましたー」


 「おおー! あれ? そう言えば同じクラスだね? 柳マリンでーす! 一応私もシニアで野球やってまーす!」


 「どもどもー。后大牙ですー。レオンだっけ? 豹馬に無理矢理誘われてない? 嫌だったら断って良いんだからね?」


 「岸田隼人」


 「僕は雨宮狼希です。よろしくね」


 「浅見レオンだ。無理矢理誘われた訳ではないので大丈夫だ。元々興味があったのは事実だしな」


 そうだそうだー。

 人聞きの悪い事言うんじゃないよ。

 面白そうだと思ったのは否定しないが。


 「んじゃ、向かおうか! そういえば、レオンは時間は大丈夫なのか? 俺ら結構遅くまでやるけど。あれだったら妹さんを家に連れて来てもいいぞ。うちの妹と同い年らしいし仲良く出来るかもしれん」


 「む。確かに。俺の家は親が帰って来るの遅いからな。妹を1人させてしまうな。迷惑じゃなきゃ連れて来てもいいか?」


 「良いぞー。なら先にレオンの家に向かうか」


 連れて来たレオンの妹はお人形さんみたいな天使でした。

 我が家の神奈ちゃんには負けるがな!

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る