第240話 キャップ野球 前編
「これ、ずっとやりたいと思ってたんだよなぁ」
とある日。俺は自室で柔軟をしながら動画を適当に見漁っていた。
最近は見るものを決めずに、おすすめ動画や関連動画を見てるんだけど、面白い動画があった。
「明日の練習終わりにみんなを誘ってみようかな」
体育館を借りれるか分からないけど。
ワンチャン室内練習場でもいいよね。
「はい。という事でみんなに集まってもらった訳です」
「確かに偶に動画で見て面白そうだとは思ってたよ」
いつものシニア組のメンツに大浦金子、ミズチ一二三少年を追加してやって来たのは体育館。
今日はバレー部が練習休みという事で半面使わせて頂ける事になりました。
「こちらに道具も用意しておきました。ルールは動画を見ながらになるけど、野球とほぼ変わらないと思う」
まずはこれ。白色の市販のペットボトルのキャップ。これで今日、何をするか分かっただろう。
そう。『キャップ野球』である。
動画で偶に見てていつかやりたいなと思ってたんだ。大学生とかサークルもあったりして、大会とかもあるらしい。
「キャップも二種類あって、柔らかいキャップのヤワキャ、硬いキャップのカタキャ」
「陽キャと陰キャみたいなもんか」
隼人が知ったかぶりしてらっしゃるけど、それは全然意味が違うよね。
似た語呂だからって適当に言わないの。
「お茶とか水とかはヤワキャ、炭酸水とかはカタキャだな」
「それって硬い柔らかいで違いがあるのー?」
「良い質問だね、マリン君」
今回はキャップ野球って事で女子も普通に参加出来る。シニアの頃普通にレギュラーだったマリンはやる気満々だ。
「ヤワキャは変化球が大きく曲がる感じだな。カタキャはスピードがヤワキャより出る。後、カタキャは良く飛ぶ」
らしい。やった事ないから動画の受け売りなんだけど。戦略でキャップ投げ分ける事が出来る。
ポケットの中に忍ばせておいて、駆け引きする感じだな。
「まず、基本の投げ方。中指と親指で挟んで弾いて投げるらしい。デコピンみたいな感じで」
俺はみんなに挟んで見せてみる。地面と平行に押し出す感じでやるらしい。
ドヤ顔で語ってるけど、俺はやった事ないし、全部動画の受け売りだ。
見た人の言ってる事が合ってる事を祈る。
「ちょっとまずは軽くやってみるか」
って事で、家から持って来たペットボトルのキャップを適当に配って早速やってみる。
我が家には自販機が置いてあるので、キャップには困らない。ヤワキャ、カタキャ両方いっぱい持って来ました。勿論ちゃんと洗ってあるからね。
「キャップの面を上にして、ちょっと傾けながら弾くと、カーブとかスライダーになるんだって」
「ほう! ほうほう!」
動画知識を披露しながら、各々キャッチボールを始める。
意外に楽しそうにしてるのはレオンだ。こいつは野球ではピッチャーにセンスがないけど、キャップ野球では中々。試行錯誤しながら、楽しそうに投げてる。
「サイドスローの方がやりやすいな」
「だね。上投げはコントロールがしにくい」
タイガマリンペアも中々。
金子大浦ペアは金子がカーブを早速モノにしてる。流石カーブマスター様ですわ。
「まっ、こんな感じかな。後は各々変化球の練習をしてもろて」
次はバッティングだな。
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