第210話 VS浦和3
得点の匂いがしませんなとかドヤ顔で言ってたら一二三少年の一撃。
豹馬君は恥ずかしいです。
でもそれはそれ、これはこれ。
今は一二三少年の第一号を喜ばねばなるまい。
「うぇーい! ないすー!」
「ありがとうございます!!」
滅茶苦茶嬉しそう。
上手い事芯を食ったんだろうなぁ。
パワー不足はそんなすぐに改善される事じゃないし。
「この流れでもう2.3点--」
「お前らはよ守備につけよー」
いつの間にか後続が倒れていた。
剛元達は一体何をやってるのだね。
いや、増田がしっかり切り替えて抑えたって事なんだろうけど。
やっぱり良い投手だよなぁ。こっちはスタメンが出てないとはいえ、ここまで1失点。
俺も負けてられませんな。
「三波先輩。次の回はまた変化球多めでいきたいんですけどいいですか? そろそろストレートとチェンジアップだけだとヤマ張ってきそうなんで」
「万事任せる」
俺ちゃんもそれは気にしてました。
思った以上に高速チェンジアップの使い勝手が良過ぎて。実戦でも充分通用する事は分かったし、後はしっかり抑える事に注力すべきだろう。
渚ちゃんも見てる事だしね。
完全試合は消えちゃったけど、ノーノーがまだ残っている。是非達成して褒めてもらいたい。
そして七回表。
先頭は1番から。
この回が山場になりそうだな。
初球。プリンスのサインに頷き構えた所へズバッと投げる。
「やっぱりヤマ張ってるな」
ストレートとほぼ同じ球速のツーシームを豪快に空振り。流石に二球種だけで抑えられる程甘くないってか。
「それなら俺の素晴らしい変化球を堪能してもらおう」
2球目をスラッター。
3球目をナックルカーブで三球三振。
2番バッターもスイーパーを2球続けてのツーシームで三球三振。
相手は急にこちらが配球を変えた事で苦虫を噛み潰したような表情をしている。
ヤマ張ってるってバレてるなら配球を変えるに決まってるだろうに。
プリンス君も試合中に成長してるね。
毎回、回の終わりにタイガに話を聞きに行ったりしてるし。爽やかイケメンのくせに野球にかなり真摯的である。
俺はそういう人間が大好きです。
って事でこの試合で、プリンスにも自信を付けてもらいたいところ。
俺が出来る事はプリンスのサインに首を振らず、そのリード通りに投げてねじ伏せる事のみ。
良くないリードなら、終わった後に俺かタイガが指摘すればよろしい。
って事で3番。
さっきとは打って変わってストレート攻め。
相手はどの球種に球を絞ればいいか分からないのか、困惑してる様子。
「打席で迷いの表情を見せちゃいけないねぇ」
レオンなんて無だぞ、無。
全然反応してくれないから、こっちが投げるのも苦労するんだ。何投げても打たれる様な気がするしね。
結局ファールで2球粘られたものの、最後はノーマルチェンジアップで空振り三振。
マジで絶好調すぎる。渚ちゃん効果に違いない。
「ナイスリード」
「! ありがとうございます!」
ベンチに戻りながらプリンスと話す。
うむうむ。今のは中々カッコいい先輩ムーブだったんじゃなかろうか。
俺の対人スキルも上がってきたぜ。
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