第303話 準々決勝


 抽選で準々決勝の相手は宮崎の丸岡学園に決まった。


 俺のどうでも良い騒動があったりしたけど、そんなのと関係なく日程は進んでいく。ってか、今回の騒動に高野連がノータッチなのがやばい。


 高校球児が健全に野球を楽しめてませんよ。こういう時に守る姿勢ってのを見せてくれないと、なんの為の組織か分からなくなってきますな。


 どうでも良い事には首を突っ込んでくるくせにさ。


 それはさておき試合である。


 先発はキャプテン。俺が中々の活躍をしたり、野球外の事で目立ってしまったが、この大会はキャプテンにとって最後のアピールの機会。


 俺の事なんか関係ねぇとばかりに、調整は万全である。いや、一応気にはしてくれたみたいだけど。『豹馬はこんなのなんともないでしょ』って。まあ、その通りなんだけどね。


 俺のメンタルを揺さぶられるとしたら、渚ちゃんから別れを告げられる事ぐらいだ。………そうならないように気を付けよう。



 試合は龍宮先攻でレオンの一発でまずは試合が動いた。妹をネタにされてご立腹のレオン君の怒りの一撃。丸岡学園の人達はご愁傷様です。


 レオンが怒って力んだりする奴ならまだ可愛げがあったんだけどね。残念ながら怒りを純粋なパワーに変えれる奴なんです。


 レオンの一発の後に大浦、隼人の連続ツーベースで2点を先制した龍宮。


 先制点をもらったキャプテンはそれはもうのびのびと投げていた。





 「うーん…。準々決勝とは思えない安心感。キャプテンも打線も仕上がってるなぁ」


 あんな騒動があって調整とか色々苦慮するかなと思ったんだけど、特にそんな事はない。


 5回まで終わってキャプテンは一安打ピッチングだし、150キロもバンバンと連発。スカウトさんもにっこりしてる事だろう。


 打線は打線でレオンが2本目のホームランを打ったり、清水先輩にも一発が出たりとやりたい放題だ。


 一年では一二三少年が既に三安打1打点と文句ない活躍をしてるし、速水は今日ヒットはないものの、四球二つに守備ではファインプレーが一つあった。


 龍宮全員が大活躍と言っても過言ではない。無責任な観客達は渦中の存在である俺が出てない事に野次を飛ばしたりしてたけど、こんな結果を出されたら文句は言えないだろう。


 「龍宮一強感が凄くない? 俺達は良いけど、他の高校はたまったもんじゃないよね」


 ここまで楽な試合展開になるとは思ってなかった。確かに今日のみんなは出来すぎな結果を残してる。これがこの試合限りの確変ならまだしも、ここ最近ずっとみんな調子が良い。


 俺もそうだし、打線もキャプテンも金子もそう。


 これで打倒龍宮って盛り上がってくれたら良いけど、あまりに強すぎて野球を辞めるとかなったらどうしようって思っちゃうね。


 ちょっと傲慢な考え方かな? まだ優勝してないのに何言ってんだって話か。


 それに桐生ともまだ戦ってないしね。あそこも龍宮並みに打線がどえらい事になってる。外国人であるドワイトと、後輩の大鰐が暴れ回ってるらしい。


 対戦するのが楽しみだねぇ。投げるかどうかは分からんが。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る