未冠の大器のやり直し

閑話 大阪桐生1

　秋季大会終了直後らへんのお話

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　「おい！　三高負けたで！」

　「嘘やん？　霊山打たれたん？」

　「やっぱり浅見か？」

　大阪の超名門校、大阪桐生。

　その部室にて、東京の秋季大会決勝の結果が知れ渡り騒然とする。

　「浅見もタイムリー打っとるな。先制タイムリーは1年で秋から4番打ってる奴やけど」

　「三波はどうやったんや？」

　「一安打完封。三振いっぱい。ばけもんやろ」

　「うわー。やっぱり桐生に来て欲しかったわー」

　豹馬とレオンは大阪桐生からスカウトされていた。豹馬には桐生だけは嫌だと拒否された訳だが。

　「この大浦？　この大会めっちゃ打っとるで」

　「ってか、打線やばすぎやろ！　1番〜6番まで、打率ほとんど4割超えてるやん！」

　「あそこはピッチャーもええからなぁ。怪我で出てないけど2年生エースも完成度高いらしいで」

　「新設校やのに、人集まりすぎやろ」

　わいわいと部室で騒ぎまくる桐生のメンバー。

　そこに、桐生の名物監督北西監督が入ってくる。

　「なんや？　騒がしいな？」

　でっぷりと太った体だが、眼光は鋭く、甲子園でも春夏連覇を成し遂げた事がある名将である。

　いつもは練習が終わると、すぐに寮に戻るのに部室で話し合ってる球児達を不思議に思っていた。

　「監督！　三高が負けて、龍宮が勝ったみたいなんですよ！　三波と浅見がおる所です！」

　「あー、あそこか。そうか。三高が負けたか…。三波はどうしても欲しかったんやけどなぁ」

　「浅見よりもですか？」

　「そら浅見も欲しかったけどな？　でもあいつは三波を引っ張ってこれたら着いてきたと思うんや。野球に誘ったのも三波らしいし、家庭の事情もあるからなぁ」

　北西監督は、豹馬が中学の時に直接スカウトに行っている。

　しかし、豹馬は申し訳なさそうにしながらも、青春が出来そうにないからという、野球を舐めてるような理由で断った。

　「それに、三波をスカウト出来たら、あそこの父親も引っ張れたかもしれんやろ？　あの人の指導、プロからも評判良かったみたいやからなぁ」

　現に、勝弥がコーチをしだしてから、龍宮高校の打撃成績は爆上がりしている。

　北西監督は逃した魚の大きさにガックリした。

　「流石に桐生じゃあ、青春は出来んわな。俺がどれだけ働きかけても、簡単に変えれる事ちゃうわ」

　「俺達が大阪大会勝ち上がれば神宮で対戦出来ますよね！！」

　桐生のメンバーは豹馬が馬鹿みたいな理由で、スカウトを断ったのを知っている。

　なので、それなりに対抗心があるのだ。

　自分だけイチャイチャしやがってと。

　1年生の中には交流があるメンバーが居たりするので、決して仲は悪くない。

　それでも、自分達は監獄で豹馬は楽園。

　自分達でその道を選んだ結果だが、桐生のメンバーは青春に飢えている。

　なんなら、そんな理由で断った豹馬を勇者だと思ってる人間もいる。

　しかし、勝負となれば話は別。

　神宮大会でなんとか叩きのめす所存だ。

　「うーん。投げるやろか？　連投してんねやろ？　俺なら休ませるなぁ。センバツで当たるかもしれんから手札はなるべく見せたないし」

　北西はみんなに聞こえない程度の声で呟いた。

　打倒龍宮で、メンバーが盛り上がり、士気が上がってるからだ。

　結局、桐生は大阪大会を勝ち上がり、神宮大会に出場。決勝で龍宮と対戦したが、豹馬はベンチで投げる事はなかった。

　それでも、意地を見せて一点差で勝利。

　なんとか、桐生ナインは溜飲下げたが、新たに金子を警戒する事になる。

　「これに三井もおるんやろ？　たまらんなぁ。打線も途中からベンチメンバーから主力出してきてヒヤヒヤしたし。春は気合い入れんとな」

　果たして、春の甲子園で龍宮と再び戦う事になるのか。

　それは作者にも分からない。

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　閑話しゅーりょー。

　センバツの対戦はガチのルーレットで決める予定。夏じゃないし、こういうのもいいかなと。

　なので、もしかしたら一回戦で当たったりするかもね。