第246話 試合後
27-1で龍宮は初戦を5回コールドで勝利した。こっちは選手交代はあったものの、最後まで手を緩める事なく、そして相手も投げやりになる事なく試合は終了した。
ミズチが初登板って事でテンパったのか、四球から連打で一点取られたのはご愛嬌か。
大量リードがあったけど、やっぱり夏の大会は春とプレッシャーが違うよなぁ。シニアで大舞台も経験してるだろうに。
そう考えると、去年の俺達はふてぶてし過ぎたな。緊張なんてほぼ皆無で、夏の大会を楽しんでたように思う。
相手のセカンドのキャプテンは三年生でこれで引退だろうに、甲子園優勝校と試合出来た事を一生の自慢にすると、笑いながら言ってきた。なんか、心が強い人だなぁと思う。
「あんな人がばっかりの世の中なら世界は平和だろうな」
「スケールが大きいよ」
あの人を甲子園春夏連覇した高校と試合出来たって言えるようにしてやろう。
かなり箔がつく自慢になる事だろう。
なんならキャプテンやらレオンやらがプロに行くと更に自慢出来るな。
プロで華々しく活躍してる元龍宮の面々を見て、将来子供にあの人達と試合したんだって。
まぁ、まだ活躍出来るかは分からないけどさ。
「次の試合の先発は金子でいくで。で、今日とおんなじように点差がついたらどんどん交代していくから、控え組は準備を怠らんようにな。特に蛟原。次も金子の次はお前や。しょーもない焦り方すんなよ。ヒットを打たれるんはしゃーないけど、四球はいらんわ」
「さーせん!」
学校に戻ってきてミーティング。
今日の試合を見ながら反省会。ミズチもそうだけど、一年組が予想以上にテンパってたのがな。こればっかりは慣れるしかない。
一二三少年も速水も。途中出場した剛元とプリンスも。ちょっと固すぎたからね。
「次の試合も出番はないか」
「三高までどれだけ温存出来るかが勝負の鍵だよ。うちは投手が揃ってるんだから」
まぁなぁ。出来れば決勝は霊山とばちばちに投げ合いたいところだけど。
こっちがこけるかもしれないし、向こうがこけるかもしれない。向こうの山には変態バッターの白馬君がいるしね。
「投手陣はもちろんやけど、打者陣も気を付けろよ。今年は例年よりも暑いらしいからな。水分補給はしっかりとしとけ。少しでも体調に異変があったら、すぐに報告せぇよ」
熱中症には気を付けないと。
多分龍宮は他の高校より暑さ耐性が少ない。去年も暑い時とかは寮で勉強したりしてたからね。
それが悪いとは思わないけど、他の高校は大体暑い中でも練習してる訳で。
そういう耐性は龍宮より上だよね。
「かといって、暑い中で練習するのはパフォーマンスが落ちるし、効率もよろしくないと思うんだよなぁ」
「集中力が低下して怪我の元にもなるしね」
でも試合は夏にある訳で。
対策しないといけないんだよなぁ。
これは高校野球だけじゃなくて、プロでも夏に試合はあるし。
冬は冬で体が固まって怪我するし。
難しいよなぁ。
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