第74話 焼き肉
「じゃあ周りに他のお客さんもおるから、騒ぎ過ぎんようにな。今日はお疲れさん。かんぱ〜い!」
「「「かんぱーい!!」」」
試合後、一旦みんな家に帰り夕方に再集合して食べ放題の焼き肉屋さんに来ている。
スポンサーは、パパンと監督。
ふっ。親の財力に泣きついてやったぜ。
なんたって、部員とマネージャー含めて30人近く居るからな。
30×3000円でどれだけお金が飛ぶか。
「美味い! 美味い!」
「あ、牛すじ煮込みもあるじゃん!」
「ビビンバも頼もうかなー」
うむ。
肉は人を笑顔にする。
世界の真理である。
俺が調子に乗ってホームラン打たれた事もすっかり忘れて焼肉を楽しんでおるわ。
「いや〜まさか本当に連れて来てくれるとは思ってなかったよ!」
「約束は約束だからな」
「親にお願いしただけじゃん」
その親にお願いするのも、申し訳ないんだよ?
不甲斐ない息子を持ったばっかりに、こんな事に巻き込んでしまって。
節税になるから割と乗り気だったけど、微々たるもんじゃんね。
気を使われた感満載です。
「てか、パンは稼いでるんだからお金持ってるよね? デートとかにも行かないんだし」
ああん?
喧嘩売ってんのかよ。
デート以外でもお金使う事はいっぱいあるでしょうが!
あ、こら! それ俺が育ててたハラミだぞ!
「デートだけがお金の使い道だと思ってる事が浅はかだよね。漫画にラノベ、気になったアニメの円盤とか色々とお金がかかるんだよ!」
野球とソシャゲ以外の唯一の趣味だよね。
やはり、あれらは日々の活力になる。
3ヶ月毎に嫁が変わるのはご愛嬌ってやつよ。
これが私の…全力だぁーー!! って言いながら投げてる時もあったね、うんうん。
そして、レオンにイマジンブレイクされるんだ。
「パンってさ、野球してなかったら引きこもりになってそうだよね」
「うるさい! なんか心にクるだろう!」
前世が、そんな感じだったんだよ。
仕事以外ではほとんど家から出なかったからね。
「ま、いいや。次も腑抜けたピッチングしたらこんなんじゃ済まないからなね? あ、このホルモン美味しい!」
「ひえ。って、そのホルモンも俺が育ててたんだよ!」
「こわ。焼き肉奉行じゃん。嫌われるよ?」
「いや、人が焼いてた物に手を出すなよ」
「みんな仲良く焼いて食べるんだよ?」
「お前は一切焼いてねぇじゃねぇか!」
全く。
タイガは一人っ子で甘やかされて育ったのか、お世話をしてもらう事に慣れてやがる。
普通一人っ子って自立するんじゃないの?
ほら、カルビとロースが焼けましたよ。
野菜もしっかりバランス良く食べるんですよ。
「はっ!? 自然とお世話してた!」
「なんだかんだ言いながら、パンは面倒見が良いよね」
本意では無いんだ!
体が勝手に。
「ふふっ。良い。良いわ! 文句を言いながらも目を離せない幼馴染。そんな彼の事が次第に気になっていき…」
「って事は、マリンちゃん! 三波君がタチって事??」
「いや、いざそうなると立場が逆転してタイガが攻めるのよ」
「「きゃー!」」
おいおい、嘘だろ?
腐の汚染がとうとう野球部マネージャーまで感染してやがる。
安息の地がどんどん無くなっていくじゃないか。
「おい、お前の彼女なんとかしろよ。その内、学校中がおかしくなるぞ」
「あれが可愛いんじゃないか」
だめだ。
盲目になってやがる。
これだから、彼女持ちはいけない。
俺はこれからも女にうつつを抜かす事なく、真摯に野球に励みますからね。
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