第7章 ニュービー
第159話 帰還
春の甲子園が終わってから三日後。
龍宮高校一行は東京に帰還した。
試合終了から帰るまでは完全にオフ。
普通ならすぐに帰る所だが、みんなで大阪を観光してから帰ってきた。
US○に行ったり、大阪で食べ歩きしたり。
ハメを外し過ぎない程度に楽しんで、リフレッシュして疲れを取った。
「久々な我が家じゃーい!」
みんなと一緒に泊まり続きも楽しかったけど、やっぱり家は落ち着く。
早速サウナとお風呂に入ってスッキリしたい。
そう思いながら、ルンルンしながら家に帰宅して、荷解きを後回しにして営業しているお風呂に向かう。
「豹馬くーん!!」
「ん? げぇっ!」
お客さんにおめでとうとか、一気に有名になったねとか、ホームランを打たれるのは詰めが甘いとか色々な言葉をかけられつつ、脱衣所に到着するとそこで一人の男が待ち受けていた。
「ミズチ。なんでここにいるんだ?」
「豹馬君が帰ってくるのを待ってたんですよ! 優勝おめでとうございます!」
面倒な奴に会ってしまった。
こいつの名前は蛟原 北斗。
俺が行っていたシニアの後輩で、いつも後ろを引っ付いて来ていた俺の信者を自称してる奴だ。あだ名はミズチ。まぁ、普通に苗字の一文字目を読んでるだけなんだけど。
「どうもありがとうございます。風呂で待ち受けられるのは流石にキモいけど」
「うへへ〜。良いじゃないっすかー」
でれっとした顔でにやけながら近寄ってくる。
こいつ、久々に会ったからかキモさが増してやがる。昔はもう少し分別があったのに。
「やめろ! 近寄るな! マリンがこの現場を見ると何て言うことやら…」
「柳先輩は元気っすか? 俺のライバルのタイガ先輩と仲良くやってます?」
ライバルってなんだよ。気持ち悪いからやめてくれ。こいつ、こんな事言ってるけど、普通に女好きだからな。っていうか、女癖が悪い。
「あいつら二人は既に熟年夫婦の域に達してるよ。今結婚しても不思議じゃないね」
「法律的に無理ですよ」
分かっとるわい! 例えでしょうが! すぐに揚げ足を取ってからに。
俺はミズチを適当にあしらいつつサウナに向かう。
当たり前のように後ろからついてくるミズチ。
「お前、龍宮に進学するんだよな?」
「当たり前ですよ! 豹馬君と一緒に野球やるのが生き甲斐なんで!」
正直、なんでこんなに慕われてるのか分からない。尊敬されたり称賛されるのは好きだけど、ここまでくるとちょっと引いちゃうよね。
悪い奴じゃないし、嫌いじゃないんだけど。
むしろ、シニア時代は可愛がってたし。
「特待で一緒に入る奴らと甲子園決勝も見てましたよ! レオン君は相変わらずやばかったですね!」
「木製バットに変えてから、むしろ長打率が上がってるんだよな。あいつは真正のバケモノだよ」
「早くみんなに会いたいですねー」
「練習に来れば良いじゃん。まだギリギリ春休みだし。明日はみんな部室に来ると思うぞ」
すぐに春季大会が始まるし。
うちの面々はシード権さえ取れたら良いやっていうスタンスであんまりやる気がないけど。
控えメンバーを中心に出すんじゃないかな。
「行きます行きます! 他の進学予定の奴も誘っていいですか?」
「良いぞ。明日はそんながっつり練習しないだろうけど。各々、軽く体を動かす程度だと思う」
「うっひゃー! 楽しみです!」
俺も新入生がどんな奴なのか、どれだけ来るのか気になるな。明日は早めに登校しよう。
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長らくお待たせしましたが、サポーター様向けに限定記事を公開しました。
勝弥さんの活躍を見てみたいと言う方はこの機会に是非読んでみてくださーい。
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