第252話 VS八王学園4
「ストレートが厄介なんやったらそれ以外を狙って打てや」
四回裏が始まる前に監督が言いました。
ストレートの微妙な変化に右往左往してるぐらいなら、それ以外の球をを狙えと。
だから、龍宮打撃陣はカーブを狙った。
どうせ狙うなら、相手の自信のある球を打って精神的にダメージを与えたい。
まぁ、それで打てるうちの打撃陣に呆れるけど。隼人も清水先輩も、そして今ホームランを打って帰ってきた一二三少年も。一二三少年なんて、前の試合まで難しい顔してたのにさ。満面の笑みじゃないか。
「良いところで打ったな」
「はい。普段から金子先輩のカーブを打ってますんで。思ったよりすんなりバットが出ました」
これで精神面を一皮剥けてくれたら。そんな事を思いながらネクストに向かう。
速水、出塁してくれないかな。じゃあ俺には送りバントのサインだろう。
もう良い加減俺が打てないのは分かったので、素直にバントさせてほしい。
その願いが通じたのか、速水は8球粘って四球で出塁した。
ホームランを打たれて落ち込んでるところで、ねちっこく粘る。嫌なバッターになってきたね。
で、俺は綺麗に送りバントを成功させる。
なんでバントはこんなに上手いのに打てないんだろうね。ほんと沢◯みたいになってきた。バスターに挑戦してやろうか。
試合は九回まできた。
スコアは7-1。俺は七回でお役御免。ヒット三本で、球数は104球。可変式害悪審判に当たった割には良く頑張った方だろう。点差がついてからは、なるべくゾーン付近に集まるようにして、打たせて取るピッチングに切り替えてから、ヒットを打たれてしまった。
八回からミズチがマウンドに上がったが、すぐに一点取られた。あいつは立ち上がりが悪いのか、それともリリーフ適性がないのか。出て行ってすぐに取られる印象があるな。その辺の見極めもしていかないと。
龍宮は試合が進むにつれて、大井さんのストレートにも対応。ちょこちょこと点を取っているが、変わらず大井さんは投げ続けていた。
球数は160球を超えてるのにな。
最後の夏だからってのもあるんだろう。
投げる姿からは気持ちが伝わってきていた。
そして最後のバッターをセカンドゴロに打ち取ってゲームセット。残念ながらコールド勝ちとはいかなかったが、快勝と言っても良いだろう。龍宮はこれでベスト8に進出だ。
「疲れたな」
気持ちの良い疲労感だ。
審判で頭を悩ませたから、ちょっと糖分が足りてない気がする。ベンチで逐一ラムネは食べてたものの、頭がちゃんと回り切ってない。
「帰ってからのミーティングまでにしゃっきりしておかないとな」
ちゃんと反省会をしないと次に繋げられない。勝ったからと言って、油断は禁物だ。
反対側の山はどうなったのかな。
順当に進めば次は松美林と三高が当たる。
多分霊山が投げる事になるだろう。あの厨二病天才バッターをどう抑えるのか。
はたまた白馬君が打ち崩すのか。気になるところではありますな。
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