第274話 VS三高4
☆★☆★☆★
「レオンの前にランナーだしてもーた」
后の奴、チェンジアップを待ってたな。
この回はチェンジアップを多めに投げて意識させたろうと思ってたのに。それを読まれてたかもしれへん。
出来ればレオンの前にランナーは出したくなかった。ランナーに気を取られてたら、あっさり打たれてまうからな。
安易に勝負を避けるって選択も出来ひん。
後ろは大浦と岸田が控えとる。大浦はレオン並みに警戒せなあかん打者やし、岸田は得点圏にランナーがおったら打たれる気しかしやん。
「ほんま厄介な打線やで」
龍宮と戦うたびにそう思ってまう。
素直に桐生に行っといた方が良かったかもしれんなぁ。それならとりあえず甲子園には行けたやろうし。
でも東京に来たからこそ今の僕がある。
秋に龍宮に負けて、悔しい思いをして。
シンカーを改良したり、新球を覚えたり。
これは東京で龍宮に負けてないと出来ひんかったことや。
そんな事を思いながら気合いを入れ直して、バッターボックスで殺気を撒き散らかしてるレオンを見る。
シニア時代はボコボコにやられた。
今でも苦手意識がある。第一打席は三振を奪えたけど、あれはチェンジアップを隠してたからや。この打席もおんなじようにいくとは限らんやろう。
「それでも僕は抑えるで」
三高のみんなともう一回甲子園に行きたい。今日はなんとしてでも勝たしてもらうで。
☆★☆★☆★
「レオンが怖い」
「キャッチャーと審判が可哀想」
側からみても分かる程レオンから殺気が出てる。なんか珍しく力んでるようにも見えるな。一打席目の三振がよほど堪えてるのか。
「最悪のパターンはゲッツーか」
普段のレオンならゲッツーの心配なんてしないんだけど、力んでるように見えるから。
「レオーン!! 力抜けよー!!」
一応声掛けはしておく。
俺に言われたくないだろうがな。
初球。
霊山は高めのボール球のストレートから入ってきた。
普段のレオンなら見逃してるボールだろうが、レオンはこれをぶっ叩いた。
「嘘だろ」
明らかにボール球。
それをレベルスイングで捉えて、打球はセンター後方へ。霊山もギョッとした顔してるぞ。
センターの柳生は既にフェンスに張り付いている。が、そこから1歩前に出てボールをキャッチした。
「んー、後一歩届かずか」
「いや、あそこまで飛ばせるのがおかしいよ」
確かにな。
高めの球とはいえ、あんなくそボールをあそこまで運ばれるって。
霊山からしたらたまったもんじゃないだろう。
恐らく高めに目付けをして、低め勝負にするつもりだったんだろうが、次の打席から安易に高めを投げるのも難しくなった。
ボール球をあそこまで運ぶんだからね。ゾーンに入れたらどうなるかなんて馬鹿でも分かる。
その後大浦はフルカウントまで粘るも、最後はシンカーでサードゴロに打ち取られた。
なんとか出塁して得点圏で隼人に回せばワンチャンあるかと思ったけど、霊山もそれを分かってるのか、かなり気合いを入れて大浦を抑えていた。
これで四回が終わって0-0。
両校ヒットは1本ずつ。
投手戦になってきましたねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます