第13話

 僕たちが和の国の皇都京都に到着してから早いことでもう一時間が経過している。

 僕たちは和の国の観光を楽しんでいた。


「あ!あれ見てください!」

 

 パルちゃんが一つのお店を指差す。

 そのお店はコスプレとでも言うべきか。観光客向けに衣服のレンタルをしているお店だった。

 

「お、面白そうじゃん。やってみる?」


「良いわね!」


「あぁ。やってみようか」

 

 僕らはそのお店に入り、コスプレというものを体験してみることにした。

 

 ■■■■■

 

「え?」

 

 僕は店員さんの言葉を聞き返す。


「お客様にはこちらの試着をおすすめいたしますよ!」

 

 出来る感じをバリバリ醸し出している男性が手にし、僕に向けているのは明らかに女性ものの着物だった。


「???」


「お客様ほどの可愛らしい方でしたら恐ろしいまでにお似合いだと思いますよ!」

 

 店員さんは圧倒的な熱量で女性ものの着物を猛プッシュしてくる。


「あー。うん。わかった。それじゃあ僕はそれにする」

 

 僕は店員さんから女性ものの着物を受け取った。


「え?なにこれ……着つけ面倒……」


「あ、お手伝いさせてもらいますよ」

 

 店員さんが僕の方に近づいてくる。

 ……え?

 

 ■■■■■

 

「……動きにく……」

 

 僕は自分が着ている着物の着心地に眉をひそめる。重くて、デカくて、すっごい嫌。


「ごめん。待たせたかし、ら?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!」


「すっごく可愛いです!」

 

 お店から出てきた二人は僕を見て驚く。

 僕が今着ているのは水色を基調とした花がらの可愛い着物だ。それはまぁ男である僕がこんなのを着ていたら驚くよね。

 ニーナが着ている着物は紫色を基調とした派手めな着物で、パルちゃんの着物は僕の着物の赤色バージョンだ。


「ちょっと二人くっついてみてよ」


「いいよ」


「いいですよ?」

 

 僕がベンチに座り、パルちゃんが僕の膝の上に乗る。


「にょっと」

 

 僕は僕の頭をパルちゃんの頭を避けて出す。見えるように。

 

「……兄妹みたいで可愛いわね」


「そう?」


「仲がいいことはとってもいいことなのですよ!」

 

 僕とパルちゃんはニーナの指示に従うままにポーズを撮っていく。


「ロリショタ……てぇてぇ」

 

 お店の奥で店員さんが涙を流し、古代遺跡から掘り出された『カメラ』と似たような働きを持つ割と希少なアーティファクトを使って僕達の写真を撮っている。

 ちなみに店員さんから写真を一枚、一番気に入ったのを貰った。

 写真には、両手を合わせて体を向かい合わせにして立ち、カメラの方を向いている僕とパルちゃんが映っていた。

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