第3話

 今日もまた。時が過ぎゆく。

 微睡み、誘う時の流れを僕は生きる……。

 

 眠たくて死にそうな授業を全て受けきり、帰りのHRの時間となった。

 みんながソワソワしだしていることをこれ以上無いくらいに感じる。


「えー、最後に。これは重要なことだからよく聞いて頂戴」

 

 死にかけているみんなのことを眺めながらマリア先生が僕たちに向かってそう告げる。


「昨日。王都に住む市民より騎士団へ不審な大柄の人影を見たという訴えがあったわ。そして、ここ数週間の間で殺人事件が頻発しているわ。そして、その犯人は未だに逮捕されていないわ。犯行時刻は夜ね。みんなも夜遅くまで出歩かず、暗くなるよりも前に寮に帰ってくることね」


 マリア先生が僕らに向かってそう話す。

 ……殺人、事件?んな馬鹿な。

 僕は内心愕然とする。

 僕はそんなの知らない。夜は吸血鬼としての力を解放し、町に僕の血を散布しているんだけど?殺人事件なんか起きたらすぐに気づいて起きるはずだが……?

 ……国王並びに教会に問い詰めねば……。僕の血の感知から逃れられるやつなんてガンジスくらいしか知らない。吸血鬼の可能性もあるが……僕の感知を逃れるほどの高位の吸血鬼が殺人事件を起こす必要も動機もわからない。

 一番可能性が高いのはガンジスだろう。

 ……異端審問でもしているのか? 

 

「じゃあ終わりね。起立」

 

 僕が内心混乱している間にも周りの人間は止まらない。

 マリア先生のその言葉にクラスメート全員が立ち上がり、僕も周りとワンテンポ遅れて立ち上がる。


「気をつけ、礼」


「「「さようなら」」」


「はい。さようなら」

 

 挨拶も早々に、マリア先生が教室から退出し、クラスメートたちが帰りの準備を始めた。

 

 ■■■■■

 

「へぇー。今和の国でそんな事が起こっているんだ」


「はい。ですが、アウゼス様が浅池を私の味方に引き込んでくださったおかげで今、なんとか国家を運営出来ていると言っても過言じゃないまでになっているんですよ。本当にありがとうございますね」


「あぁ、うん。気にしなくていいよ」

 

「……本当にあなた何をしているの?」


「ヤバい……本当にすごいな……」

 

 僕らはいつもの四人に罅隙を加えて計5人で王都をいつもどおり散策していた。

 そんな中、話の話題は和の国についてだ。


「……そういえばすごい人出ですね。和の国では考えられません……いつもこんなに人通りが多いのですが?」


「あぁ。いや違うな。今日は──────」

 

 ポーン

 

 僕の言葉を遮って王都中にトランペットの音が響き渡った。

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