第40話
「そうですか……我々としてはアンゲルス様と戦うなどということはしたくないのですが……」
「僕にとってサーシャは大切な人だから『転雷神』」
僕は黒づくめの男のすぐ後ろへと転移し、そのまま刀を振るって首を落とす。
いきなりのことに反応出来なかったらしい黒づくめの男はあっさりと僕に殺され、その体を横に倒す。
そして、僕は蹲っているサーシャと目を合わせるためにしゃがみ込む。
「大丈夫だから」
僕は決して他人と目を合わせようとしない、そんなサーシャの瞳を真っ直ぐに見つめ、安心させるように笑う。
「僕が必ず守るから」
サーシャを守るように立ち上がり、刀を構える。
「……」
アルミデウス大司教はさっきからずっとうつむき、沈黙を保っている。
僕もそれに合わせて黙り、刀を構え続けている。
「……あぁ」
そんな沈黙を打ち破るようにアルミデウス大司教は口を開く。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」
「っ!?」
アルミデウス大司教はさっきまでの冷静な態度は何処へやら。
腰をまるでブリッジのようにのけぞらせ、よだれを撒き散らしながら充血しきった瞳を浮かべながら叫ぶ。
「背教者!!!神の祝福に逆らいし背教者ッ!!!にも関わらずッ!関わらず!!!何故ェ!何故何故何故何故何故ェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!それほどの祝福をッ!アァァァ!妬ましい妬ましい妬ましい!私はッ!私は全てを捧げているというのに!何故私には祝福を下されないのですかッ!神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
アルミデウス大司教は泣きながら叫び続ける。
「七つの枢機卿が一人【嫉妬】の沐宸」
ちょっと待って。さっきまでお前は自分のことを大司教とか言っていなかったか?
それにアルミデウスとも言っていたよね?沐宸は何処から来た?
アルミデウス大司教。沐宸枢機卿。
お前はどっちなの?
「背教者への審判を告げる」
……いきなり冷静に戻って話すなよな。テンションが追いつかなくなる。
「出来るものならやってみると良いよ。サーシャは渡さない」
僕は出来るだけかっこつけながら告げた。
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