第39話

 地面を蹴り、暗い洞窟の中を走る。


「サーシャ!!!」

 

 長い洞窟を越え、ミネルバが今でも戦っている広場よりは狭い広場へと出る。

 

「アウゼス君!」

 

 狭い広場。そこにはロープで縛られているサーシャの姿があった。

 その隣にはサーシャを攫った黒づくめの男。

 そして──────


「誰?お前」

 

 真っ黒な祭服を纏った神父のような男が立っていた。

 その瞳は狂気で濁っている。


「おやぁ?あなたが死霊魔術師より祝福を受けし男ですかぁ?」

 

「……まぁそうだね。それで?お前は?」

 

 明らかにヤバいオーラ出しまくりの男を前に僕は警戒心を高めつつ、


「私はですかぁ?」


「うん。そうだね」


「私はアルミデウス。偉大なる神による祝福を受けし敬虔な信徒にして、大司教にございます」


 そんなヤバいオーラ出しまくりのくせにその口ぶりはあくまで冷静なものだった。


「神……?悪魔の間違いじゃないか?」


「間違い……?」

 

 僕の言葉にアルミデウス大司教は首を傾げる。


「神とは悪魔でしょう?」


「……そうかい」

 

 僕はアルミデウス大司教の言葉に何も答えられない。神の敵として定められている悪魔が神か。

 まぁこんなクソッタレな世界を生み出した神がいるのだとしたら、それは間違いなく『悪魔』だろうけど。


 そういえばうちのクラスメートたちが悪魔だとか、狂っているだとか批判していたロシアの大統領。ロシアとウクライナの問題は結局どうなったのだろうか?結構悲惨な泥沼の戦争になっていたはずだけど……。

 まぁ今となっては僕に関係ないんだけど。


「ふぅー。そこの少女は僕の大切な人なんだ。返しては貰えないだろうか?」


「それは無理なお願いでございます。アンゲルス様」


 ……アンゲルス。ラテン語で天使か。吸血鬼である僕を天使と呼ぶとか随分と皮肉が効いているなぁ。


「いくら悪魔へと自身の全てを捧げて研究を行う死霊魔術師様より祝福を受けしアンゲル様の願いだとしてもこれだけは叶える事が出来ませんな。この御方は神の祝福を身に宿すべき子なのですから」


「……そう」

 

 僕はそれを聞いて刀を構える。

 流石に対話による解決なんて出来ないよね。

 ……対話は同じレベルの存在でしか発生しないのだから。今の僕じゃ彼らと同じレベルとは言い難い。

 

「なら力づくでも奪い取る」

  

 さぁ、これから始まるのはギャルゲーだ。

 ……人の考えがわからない僕にさせることじゃないだろう。



 あとがき。

 話とは全然関係ないけど、ロシアがウクライナ侵攻しだしたぁ……。そしてるしあがクビになったぁ……。

 ロシアとウクライナ問題はどうなっていくと思います?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る