第46話
夜。
もう町も静まり返り、明かりが消えた頃。
そんな中、僕とリリネは京都の町を見下ろせるような山に居た。
夜空で輝く満天の空に、満天の空の中でも一際強い輝きを放つお月様が京都を照らしてくれているおかげでここからでも京都の様子がよく見えた。
「どうでござるか?いい眺めでござろう?」
「うん。そうだね。……きれいだ」
すでに錆びついた感情。悪感情によって削られ、薄れた感動。
今の僕じゃ、この夜空を見ても感動することは出来なかった。
何の感情も宿していない言葉が僕の口から漏れる。
「……」
「……」
僕たちの間に沈黙が流れる。
リリネは泣きそうな、迷いの孕んだ表情を浮かべている。
僕はリリネが言葉を口にするのを待つ。
きっとリリネならば自分から口にするだろう。僕は聞いているだけでいい。必要なのは時間と、自分の悩みを聞いてくれる隣人だ。
「私は……」
沈黙の末、リリネが言葉を話し始める。
「この国が好きでござる。この国に住んでいる人のことも好きなんでござるよ……」
「うん」
僕はリリネの言葉に頷く。
「……でも、それと同時に家族のことも好きなんでござるよ。……たとえどれだけ足掻こうと、どれだけ平和的に終わらせようとも……反逆者である父が私たちの家族が助かることはないでござる……反逆者の一族は遺族全員打ち首以外にないでござる。唯一例外があるとするのならば、聖女として大陸の方で価値のある私くらいでござる」
「そう、だね」
僕はリリネの言葉に頷く。
確かに。どれだけ罅隙が平和的に解決しようとしても、リリネの言葉通り、手宮愛鷹を含む手宮家は一族皆殺しになることになるだろう。
「……私は……私はどうするべきでござるか……?」
「知っているはずだよね。何をするべきか。リリネは」
僕はリリネの瞳を見つめながら告げる。
「……っ」
リリネは僕の言葉を聞いて息を呑む。
「わかっているはずだよ。どうするのかベストか。犠牲を避けることは出来ない。ならばどうするべきか。どうするのが最も犠牲を少なくて済むか」
「そ、れは……無理でござるよ!」
「無理?」
僕はリリネの瞳を眺める。
瞳を重ね合わせる。昏い光を持ち始めたリリネの瞳と闇に染まった僕の瞳が合わさる。
闇と闇は惹かれ合い、小さな闇は大きな闇に呑まれていく。闇魔法を使うまでもない。簡単にこちら側に引き込むことが出来る。
「簡単なことだよ。首謀者を一族の裏切り者として一族の者が討ち取れば良いんだよ。君が父を殺せば良い」
『面白いけどひとつだけ言いたい★ Good! カペタチェスってキング1つじゃどう張ってもステルメイトしかできないと思う将棋とチェスを混同してる?』
今日書かれていたレビュー。
ごめんなさい……。チェスも将棋も知らないでござるぅぅぅぅぅ。適当書いてごめんさない。まぁ、実際のチェスとは違うってことで!将棋よりもチェスの方がかっけぇやん?
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