第27話
宙を舞い、剣閃が踊る。
血が踊り、鮮血が舞う。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「シッ!!!」
僕とミノタウロスの熾烈な戦いは続いていた。
ミノタウロスのハルバードは僕に当たらず、僕の一撃はミノタウロスの薄皮一枚斬るのが限度であった。
「……っ」
僕がしのぎを削っている間、ギリアと罅隙は鎖を短剣にしようと協力してハンマーを振るっていた。
炎は太陽の光。
何故か鎖は太陽の光だけで鍛冶が出来るほどの硬度にまで落ちていた。
「出来たッ!」
ギリアが叫び、一振りの刀を持ち上げる。
「後は任せてください」
罅隙がそれを受け取り、こちらへと駆け寄ってくる。
「これを使えば倒せるはずです!」
「了解!隙は作る!」
僕は罅隙の一言に頷く。
そして、刀を納刀し、空中で静止する。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
敵の前で大きな隙を晒した僕めがけてハルバードが振るわれる。
僕はそれをまともに受け、地面へと叩きつけられる。
「ぐふっ」
体に走る激痛。だがしかし、僕は地に足をつけた。
魔力も十分。
「『抜刀術────霹靂三日月』」
大地を蹴り、雷となりて地面を駆け抜ける。
三日月のような半円を描く僕の一太刀はミノタウロスの大きな両足を斬り落とした。
「はい。これで終わりだね」
両足を失い、ゆっくりと倒れていくミノタウロス。
「ハァ!!!」
そんなミノタウロスの顔面に向けて罅隙が短剣を振り下ろした。
ミノタウロスの眉間を短剣が貫く。
ピタリと。
まるで時が止まったかのようにミノタウロスの巨躯が止まる。
そして、ミノタウロスの体は光へと包まれる。
光の粒。ミノタウロスの体全体が光の粒となって天へと帰っていた。
「わっ、と」
「危ないよ」
ミノタウロスの体が光となって消えたことで地面へと落ちていく罅隙を抱え、ゆっくりと降りた。
それと同時に真っ赤だった空も青く戻り、太陽を支配していた大きな瞳も消える。
「……え?落ちてきていないですか?」
空を見上げている罅隙がポツリと呟いた。
「うん。そうだね」
罅隙の言う通り、落ちてきていた。
空に浮かんでいる太陽が。
「はわわ!た、大変じゃないですか!?え、えっと止める方法は……えぇぇぇぇぇぇえええええええええ!大丈夫ですか!?その怪我!?」
落ちてきている太陽。それと傷だらけの僕を見て罅隙は慌てたような声を上げる。
罅隙がそんなことをしている間に太陽は僕たちの元まで降りてきていて─────視界は光に包まれた。
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