第28話
「ふぅー」
僕は視界が開け、ドワーフ王が目に入ったのを見て一息つく。
「おぉ!試験をクリア出来たか!」
無事に帰ってきた僕たちを見てドワーフ王が嬉しそうに告げる。
「ほっ」
罅隙はほっと一息つき、
「あー疲れた!」
ギリアは大きな声を上げて寝転んだ。
「……にしてもぼろぼろだな……お前だけ」
ドワーフ王は僕を見てそう告げる。
確かに僕の格好はヤバいの一言だった。服はほとんど破損し、全身血まみれ。両足は複雑骨折。魔法を使って無理やり立っているような状況だった。
多分内蔵にもダメージ入っている。なんかさっきから呼吸がしにくいし。
「あぁ!?だ、大丈夫ですか!?」
罅隙が大きな声を出して近寄ってくる。
「あぁぁぁぁ!?え?……ど、どうしようか!?す、すまない!あたいが遅かったせいで」
ギリアも慌てて近寄ってくれる。
……二人して血を止めようとしているのか体をペタペタ触ってくる。
「大丈夫だから」
僕はそんな二人を押しのける。
「すでに止血はしてある」
傷口は雷で焼いて無理やり塞いだ。
内臓は知らん。最悪吸血鬼に戻ってしまえば万事解決するし。
「そ、そうですか?か、回復魔法は要らないんですか?」
「うん。まぁ、要らないよ。これくらいまぁ治るよ。僕は人間の身でありながら吸血鬼の力を持てるように改造された男の子だからね」
「……そ、そうです、か」
「そんな申し訳なさそうな顔をするな。別に気にしていないし、この体質のおかげで僕は戦えているわけだかね。気にしなくていいよ。……それで?ギリアはちゃんとスキル手に入れられている?」
「あ、あぁ。そうだった……えぇと」
ギリアがステータスを開き、自分のステータスを確認する。
ここはゲームの世界。誰であっても自分のステータスは確認できる。……随分とまぁ便利な力だよね。
自分の努力がしっかりと数値として出て証明される。ここまで努力しがいのあることはないだろう。
「おぉ!」
ステータスを確認していたギリアが歓声を上げる。
「ある!あるぞ!ちゃんとスキルが増えている!」
「おぉー、良かったね」
「良かったですね!」
喜んでいるギリアに僕たちは祝福の声を投げかける。
「そうか……そうか!お前もしっかりと手に入れたか!」
ドワーフ王も満足げに頷いている。
「今ここに!現ドワーフ王たる俺が宣言する!ギリアは試練をクリアした、と!」
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