第13話

「ほらー、全員。席につけー」

 

 入ってきた先生がクラスのみんなへと声を投げかける。

 それを聞いたクラスのみんなは大人しく自分の席へと向かっていく。


「……ん?なんでこんなに雰囲気が重たいんだ?」

 

 少し前にどんな話しが行われていたかを知る由もない先生は、クラスの重たい雰囲気に首を傾げる。

 ……僕の設定は、温室育ちの貴族たちには別の意味で刺さってしまったようだった、


「まぁ、良いか。えー、今日のこの時間は魔法錬の時間だが……みんなも留学生たちの実力は気になっているだろう」 

 

 クラスの先生はすぐに切り替えて、話を開始する。

 ……この時間は魔法錬だったんだね……。


「そこで、だ。今日の授業は魔法錬ではなくて、模擬戦にしようと思う。留学生の実力を知る良い機会だ。ぜひ、活用してほしい」

 

 クラスの先生の話。

 それに対してクラスのみんなはなんとも言えない表情を浮かべている。


「本当にどうしたんだ?お前ら……普段なら模擬戦だ!わーいってなっているところだろう?」


 クラスの先生はクラスのみんなを見て首を傾げる。


「すみません。少し、身の上話をしたところ……金のない平民の悲惨な話に耐性がなかったようでして……」

 

 そんな中で僕が説明のために口を開く。

 

「あぁ、なるほど。そういうことか……」


 クラスの先生は僕の言葉を聞いて納得したように頷く。


「……俺は話を聞いていないが、実際によくあるの話なのだろう。だが、君たちにとって初めて生で聞く特別な話だったかもしれない。しかし、だ。だからといって下を向かないでほしい。俺たちは、そんな人たちを作らぬよう。これ以上の悲劇を作らないために今、強くなるために努力しているのだ」


 ……帝国は一番アンデッド退治に熱心じゃないけどね?アンデッド退治、もっと頑張ってほしいなぁー。うん。

 僕はクラスの先生の話を聞いてそんなことを思った。

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