第14話

 帝国騎士国家学園。

 そこの施設の一つとして存在している闘技場の方へと僕達は来ていた。


「残念ながら君たちに用意出来た時間は一時間だけだ。それ以上の時間は用意出来なかった。……全員が戦えるのであれば一番であるが、それには時間が足りないのでな……うちのクラスの強いやつが留学生である三人と戦ってもらおうと思っている。うちのクラスで戦う奴は既に俺が決めている。あらかじめな」

 

 先生はそう話し、生徒たちの名前を三人上げていく。

 選んだのは男子二人と女子一人。

 三人ともとても強そうである。


「それで、誰から戦う?」


 先生が視線を僕とルトとマリアの方へと向けてくる。


「別に僕は誰からでも良いよ?」


 先生に対して僕はそう答える。 


「じゃあ、俺的にはやっぱり唯一平民であるアウゼス君の戦いぶりを見てみたいな……闇魔法、実に興味深い。……少しで良いから触れてみたい」

 

 クラスメートの一人が告げる。


「なるほど……では」


「いや、ちょっと待ってくれ」

 

 先生の言葉をルトが止める。


「誇張抜きでアウゼスが一番俺らの中で強い。一番最初に一番強い子を出して、その後に俺らが出てがっかりされるのは少々忍びない。最初に戦うのは俺かマリアの方が良いだろう」


「そう言うのであれば尊重しよう。それで?それでは二人、どちらからやりたい?」


 先生の言葉でルトとマリアが見つめ合う。


「先にルトどうぞ」


 マリアがルトに告げる。


「わかった。そうしよう」


 それに対してルトも頷く。


「よし。わかった。一番最初に戦うのは勇者であるルト、ということだな」


「あぁ。そういうことだ」 

 

 一番最初に模擬戦するのは勇者であるルトに決まった。

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