第12話
帝国騎士国家学園。
一日6時間の授業があり、各時間前に10分の休憩時間が取られている。
「ねぇねぇ!」
僕たちは休み時間でクラスのみんなに囲まれていた。
「ただの一般的な平民って本当?」
「本当だよ。他の二人とは違ってね」
「平民なのによく来れたね」
「まぁ……平民と言えども僕はちょっとだけ特殊な人間だからね。だから、実は勇者よりも強かったりするんだよ?」
「えぇぇ!?あの勇者よりも!?本当!?」
クラスメートたちの視線が勇者の方へと集まる。
「あぁ、本当だよ。俺では全然敵わないな」
ルトは僕の言葉に頷く。
「……そうね。アウゼスくんが学校の中で最強よね……」
「最強!?」
「うん。そうだよ」
「全然そうには見えない……」
「すげぇんだな」
「人を見た目で判断してはいけないの代表だな……」
「まぁ、たしかに僕の見た目はお世辞にも強そうには見えないね」
僕なんて傍から見たらまだ小さな少年である。
これっぽちも強そうには見えないだろう……。
しかし、だ。
君たち随分とはっきりと思ったことを口にするんだね?びっくりだよ?
「それで、特殊って言っていたけど、どう特殊なの?」
「確かに!」
「平民が勇者を超えるための特殊な要因……実に気になるな」
「話が長くなるけど良い?」
「うん!良いよ!」
「あぁ」
「私は一向に構わん!」
僕の言葉に全員が頷く。
ルトやマリアも興味深そうにこちらを見ている。……そういえばじっくりと設定を話したことはなかったな。
「最初はよくある話だった……両親が死に天涯孤独となった子供。いくらでもいるそんな子供の一人が僕であった。生憎と僕は見た目が可愛かったため、色々と需要があった。男娼として各地を渡り歩いていた。定住は色々な問題で出来なかったからね。街を転々としていたんだよ。まぁ、ここまではよくある話である。問題なのはここから先の話だ。各地を渡り歩いてた生活していた時、とある男に襲われ、誘拐されたんだよね。……面倒だから色々端折るけど、誘拐した男は死霊術師で体をいじくり回された結果、闇魔法が使える、少しだけ吸血鬼っぽいことも出来るようになったんだよね」
「「「……」」」
僕の話を聞いてクラスメート全員が沈黙した。
「そ、そんな、ことが……」
「軽々しく聞いてごめん……」
「そんなつらい過去が……」
「別に良いよ?これくらい」
僕は申し訳無さそうにしているクラスメートたちを一蹴する。
「授業やるぞー」
そのタイミングで教室に先生が入ってきた。
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