第1話

「ただいまー」

 

 僕は声をかけ、玄関の扉を開ける。


「おかえりです!」

 

 それに合わせてパルちゃんが僕の方に笑顔で近づいてくる。


「あら、おかえりなさい」


 そして、キッチンに立つレクシアが僕へと声をかけてくる。

 ……これ、僕が小さなガキじゃなければ、まるで夫婦みたいだよね。


「今日もまた銭湯に入ってきたの?」


「うん、まぁね」

 

 僕はレクシアの言葉に頷く。


「流石に汚いまま帰ってくるわけにはいかないからね」


「別に私は構わないし、そもそも私が何かを言う権利なんてないんだけどね」


「私も平気です」


「別に何か言いたいことがあれば言ってくれても構わないけどね」

 

 僕はそんな二人に対して苦笑しながらそう告げた。

 そして僕は家の中心に置かれているテーブルへと座った。


「ははは。言うことなんて出来ないわよ。働いてもないのだから」


 専業主婦だって立派な仕事らしいよ?


「もうすぐに夜ご飯が出来るから待っててね」


「はい」


「今日はどんな依頼を受けたのですか?」

 

 僕の隣へと座ったパルちゃんが僕へと尋ねてくる。

 この家の家系を支えているのは僕である。

 僕が冒険者として活躍し、お金を稼いでくることによってこの家は回っている。僕は学校が終わった後、毎日依頼を受けているのだ。

 僕はすでに一端の冒険者である。普通にランクも高い。多分学園内で、先輩も含めて僕が一番ランクが高いであろう。その自信がある。

 

「えっとねぇ」


 今日は、とある魔物の依頼を受けてきた。

 その話をパルちゃんに聞かせてあげる。


「出来たわよ」

 

 そんな話をしていると、レクシアが料理を並べていく。

 どれも非常に美味しそうだ。


「おぉ!」


「ありがと」


「これくらいは当然よ」

 

 並ぶ食事。その量はレクシアが一段と少ない。

 ここに来てからレクシアはご飯もしっかりと食べるようになり、健康的になってきてはいるもの、それでもまだ食は細い。

 

「美味しい」


「それなら良かった」

 

 レクシアが笑顔で告げてくれる。


「……何か怪我することはなかった?」

 

「うん。大丈夫だよ」

 

 僕とレクシア、パルちゃんがにこやかに会話をこなしながら一日を過ごした。

 今日もまた僕とレクシア、パルちゃんは平和な生活を送る……。

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