第2話

「どうかな?」


 僕は僕の刀を持っている目の前の少女に尋ねる。

 

「……いや、行けそうだ!」


 それに対して、目の前の少女は自信満々に頷く。 


「ほ、本当?良かった」

 

 僕はほっと息を吐く。

 これがだめなら新しい刀を用意しなくちゃいけなくなるところだった。……刀はあまりないのだ。

 まぁ、刀の本場である和の国の天皇である罅隙に頼めばすぐに用意してくれると思うけどね。

 

「今やるから待っていろよ」

 

 目の前で僕の刀を握って鍛冶道具を振るう土の聖女、ギリアが頼もしく頷いた。

 僕は今、彼女に僕の刀の修繕を頼んでいるのだ。ずっと使い続けていた僕の刀はすでにボロボロなのだ。吸血鬼状態であれば、幾らでも強い武器を再現出来るのだが、人間状態だとそういうわけにもいかない。

 ……まったくもって不便である。

 

 カンッカンッ

 

 ムワッとした熱気と共に刀を打つ音が響く。

 その様子を僕は眺めていた。……熱い。


「終わったぞ」

 

 それからしばらく刀を打ち続けていたギリアが頷き、立ち上がる。

 そして、額の汗を拭ったギリアが刀を持って僕に近づいてくる。

 汗だくのギリアの、ムワッとした甘い匂いが、ギリアの濃厚な匂いが僕の鼻孔をくすぐる。


 ギリアは、背の高いサーシャくらいの背丈を持っていて、聖女の中で一番がっしりとした強そうな体系をしている女の子である。

 そして、ドワーフ特有の銀髪とキラキラと輝く碧眼が特徴的である。

 ドワーフの民族衣装だという露出の多い服からは、褐色の肌が見える。大きな谷間とお腹を平然とさらけだしている。

 見えるお腹は、腹筋は六つに割れている。

 そんな露出の高い格好で鍛冶をして大丈夫なのかと心配になるのだが、問題ないそうだ。ドワーフの肌は火に強いらしい。

 むしろ、服の方が肌よりも先に悲鳴を上げてしまうのだそうだ。

 

「ありがと」

 

 僕は刀を受け取る。


「……うん。良い出来だ」


 刀を眺め、頷く。きれいに直っていた。これならこれからも何の問題もなく魔物やアンデッドを斬り捨てられるだろう。


「良い腕だね」


「そりゃ鍛冶が得意なドワーフだからな!これくらいは当然だよ!」


 僕の言葉にギリアは豪快に頷く。


「じゃあ……ありがとね。これから冒険者ギルドに行って、依頼を受けてくるからこの辺で僕は失礼するね。今日はありがと」


 将来鍛冶師になることを目指す人たちのために学園側が用意してくれている鍛冶部屋から僕は出ていこうとする。


「な、なぁ……あたいのお願いを聞いてくれないだろうか?」


「ん?」

 

 帰ろうとする僕を呼び止めるその声。

 その言葉に僕は首を傾げた。

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