第3話
「お願い?」
「あ、あぁ。そうだ。……最近。リリネやサーシャも頑張っているだろう?」
「うん。そうだね」
リリネも和の国の一件以来、これ以上無い責任感を覚えたらしく誰よりも精力的に訓練に打ち込み、メキメキと実力を伸ばしている。自分の父親との殺し合いはこれ以上無いくらいリリネに精神的な成長を促したらしい。
サーシャは言わずもがな。化け物になっている。ルトやサーシャを除く全員の聖女が束になってサーシャに襲いかかっても何も出来ずにフルボッコにされてしまうだろう。
それくらいにサーシャは強い。
「だからあたいも頑張らなきゃいけないと思ってね。実はドワーフには種族特有のスキルがあるんだ」
うん。あるね。
僕はギリアの言葉に内心頷く。ドワーフはちょっと特別なスキルを使うことができる。
ゲームでやっているので実に良く知っている。
「そのスキルを覚えるにはドワーフの試練を受ける必要があるのだ。だが、その試練は一人でこなせるものではなくてな」
「それで僕に、と」
「あぁ。そうだ」
ギリアは僕の言葉に頷いた。
「なんで僕なの?別に他の聖女やルトで良くない?」
この章の話はドワーフたちの話で、吸血鬼や悪魔崇拝者たちが出ないストーリーである。だから、他の勇者たちにこなしてもらいたいが……。
「ははは。少し頼みにくくてな!ルトはルトで悩んでいるようだし、他の聖女たちも自分の内心に何か闇を抱えているみたいだからな!そして、彼女たちは頑張っているリリネやサーシャを見て自分も変わろうと努力しているからな!その努力をあたいが潰すわけにはいかないだろう?」
……うーん。
ここで断る理由が僕にはないな。
ルトとかものすごく追い詰められているみたいだし。by追い詰めている一番の原因。
僕と言う存在がルトに対して良くも悪くも多大な影響を与えていて、僕と自分を比べて俺が勇者でいいのかと悩んでいる様子だった。
まぁ吸血鬼である僕に勇者が似合うはずはないんだけど。
「……だから僕に、と」
「あぁ。そうだ。一番お前が適任だろ?もちろん依頼金は出す。どうだ?」
「……いいよ。その代わりに前金ちょうだいね?」
「もちろんだ!」
……本格的に僕がみんなに試練を課すことを検討したほうがいいかも知れないな。
「えぇとそれじゃあ……」
「あ、僕はいつでも良いよ?暇だからね。日程は合わせるよ」
「お?それはありがたいな。助かる。じゃあ……」
「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ」
一人の少女の言葉が響いた。
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