第14話
「おう。来たか」
僕たちはドワーフ王に会うために王城にまでやってきていた。
「今日が試練の日だが、どうやらそこまで緊張はしていないようだな。いいことだ。適度な緊張は良いが、過度に緊張しても良いことはないからな!」
ドワーフ王がギリアを見てそう告げる。
そして、次に罅隙へと視線を向けて一度頷き……最後に僕へと視線を向けて硬直した。
「お前はちょっと緊張しすぎていなさすぎじゃないか?」
ドワーフ王が、手一杯に屋台で買ったご飯を抱え込み、もぐもぐ食べている僕を見てそう告げた。
「別に良いでしょ?……あなたができた程度の試練。あなたに勝った僕がこなせないわけがないでしょう?」
僕は不敵な笑みを浮かべてそう告げた。
「カッカッカッカッ!」
それを受けてドワーフ王はこれ以上ない笑顔を浮かべた。
「なるほど!確かにそうだ!だが俺はあの時本気じゃなかった!足元救われても知らねぇぞ?」
「ふふふ。僕だって本気で戦っていませんよ?」
「そうかい!そうかい!そりゃ良いことを聞いたな!……さて。試練に行こうか。ついてこい」
ドワーフ王が歩き出し、僕たちはその後に続いていく。
あっ……このイカ焼き美味しい……。また買おう。
「ふんっ」
僕たちが着いたのは初めて試練についての話を聞いたあの部屋。
「試練への入り口はこいつを使うことで開かれる」
ドワーフ王が机の上に置かれていた像を手に取った。
なるほどね……やっぱりあの像が関係していたんだな。
「我らが偉大なるドワーフが祖よ。あなた達の眠る神聖なる聖域を侵すことをお許しください……これは全てドワーフがために」
その言葉。
それをトリガーとし、像に強烈に魔力が集まっていく。
そして──────
ゴゴゴゴゴゴ……
壁がゆっくりと動き始めた。……すごいな。
壁が動き、一つの道が出来る。
そこからは神聖な光が漏れ出していた。
「「おぉー」」
その神聖な雰囲気に他の二人は完全に気圧されている。
「どうだ……これが俺らドワーフが守るべき、聖域だ」
もぐもぐ。
やっぱこの串焼き美味しい。
「……お前の食事のせいでいまいち緊張感に欠けるんだよ!」
ドワーフ王が僕の方を向き、そう呟いた。
「むっ。敗者が勝者へ物を申すと?」
「うっ……それを言われたら詰まるが……それでもだ!せめてここで食べきってくれや!」
「うん。そうする。なんかごめんね。ギリアが思ったよりも早く進むせいで食べ切れなくて」
「お、おう……」
僕はソファへと座り、食事を再開した。
「なんというか……すげぇな」
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