未完結のゲームで最初の方に死ぬクソ雑魚敵キャラに転生したと思ったらなんかクソ強いんですけど？……もしかしてラスボスだったりする？

第52話

　転がる。

　サーシャが。

「うぅ……」

　僕のすぐそばへとサーシャは転がってきた。

　一瞬の、どうしようもない隙を晒してしまったサーシャはあっさりと攻撃を食らった。

　キーネだった化け物の。

　自身の防御へと回していた闇までも攻撃へと闇を回していたサーシャ。

　そんなサーシャはまともにキーネだった化け物の攻撃をうけてしまったのだ。

　サーシャがあくまでもスキルである闇が強かっただけだ。

　ステータス上はそんなにも強いわけじゃない。

　闇が衝撃を呑み込んでしまったから耐えられた。

　しかし、闇が無くなった今。耐えることなど出来ない。

　サーシャは一撃でほとんど戦闘不能に近い状態にまで追い詰められてしまったのだ。

「あぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ！！！良い！！！良いぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！それでこそッ！我が祝福ッ！！！凡人共には辿り着けぬ局地ッ！！！」

　そんな様子を見ていたアルミデウス大司教は気持ち悪い声を上げながら叫んでいた。怖すぎる。キモすぎる。

「……だ、大丈夫……私が……私が必ず……！」

　サーシャは震える体を起こしながら、長剣を構える。

「ぐるぁ！！！」

　闇を展開することすら出来ていないサーシャにキーネだった化け物は飛びかかる。

　その時。

「すまない。遅れた」

　一つの風が走った。

　ミネルバが追いつき、助けてくれたのだ。

「……もう安心してもらって構わない」

　ミネルバがサーシャをゆっくりと座らせる。

「後は私に任せろ……全くなんという悍ましい物を」

「アァァァァ！！！」

　キーネだった化け物はミネルバへと飛びかかる。

「全てのキレが落ちたぞ。弱くなったものだな」

　ミネルバへと伸ばされるキーネだった化け物の小腸が渦巻いたもの。

　それをあっさりとミネルバは受け止める。

「ふんっ！！！」

　そして、ミネルバはあっさりと引っこ抜いた。

「ぐぁ？」

　次点は足。

　ミネルバの強烈な足蹴りがキーネだった化け物のの胴体を支える腕を吹き飛ばす。

　ゆっくりとキーネだった化け物は体を倒す。

　ミネルバは自身の手に握られている得物を天へと掲げる。

「哀れ」

　一言。

　その一言と共に振り下ろされたミネルバの一撃はいとも簡単にキーネだった化け物を斬り裂いた。キーネの顔ごと。

「あぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ！！！」

　断末魔と共にキーネだった化け物はその体を溶かし、大きな血溜まりを残す。

　体内にあるはずの、内臓も、筋肉も、骨も全て血となって染みへとなる。

　これでようやく終わった。……さて。

「だ、大丈夫？け、怪我は……あれ？アウゼス君？」