第28話
キン!キン!キン!
金属と金属がぶつかり合う音によって僕は目を覚ます。
なにさ。こんな朝っぱらから。
「んしょ」
僕は立ち上がって窓を開け、金属音がする方に視線を向ける。
そこには剣を構えた一人の女子生徒の姿が見える。その生徒の周りに多数のクラスメートたちが集まり、模擬戦をしている。
……何をしているの?普通にうるさいんだけど。
迷惑だなぁ。近所迷惑という言葉を知らないのだろうか?
僕はそんなことを思いながら目をこすり、朝の支度を始めた。
■■■■■
「君もだめだ。魔法の威力が低い」
「くそっ!」
「はぁー。それにしてもゴールドクラスで一番強いらしい小さな少年は一体何処にいるというのだ」
剣を持っている団体の人たちに近づかないようにしてその場を歩き去る。
「あ!アウゼス、おはよう」
「おはようございます!」
「あ、おはよう。ニーナ。パルちゃん」
僕の方にニーナとパルちゃんが近寄ってくる。
「おはよう。アウゼス」
「あ、おはよう。ガンクス」
ガンクスも僕の方にやってくる。
「ところでさっき寮の前でお前を探していた人がいたのだ」
「知らないよ」
僕たちは雑談しながら学校に向かった。
■■■■■
僕がこの学校に入学してからもうかなりの時間も経った。
もうすでに一日のサイクルの形成が出来上がっていた。
朝はみんなと一緒に学校に向かい、その後にゴールドクラスで授業を受ける。放課後は勇者たちのいる図書館の方へと赴き、関係を深める。
家に帰ってからは腕が鈍らないように吸血鬼としてアンデッドと戦い、その後に温かいお風呂に入り、美味しい夜ご飯を食べて、温かいベッドに横になり、安眠する。
僕が求めていた平和な生活。
ずっと、ずっと、ずっと。
転生してから転生する前から望んでいた自由で楽しい平和な生活。
それが今!僕の手にあった。
ようやくそれを僕は手にすることが出来たのだ。
放課後。
退屈な授業を終え、図書館に向かう。
僕だって帰りのホームルームが終わってからすぐに図書館に向かっているというのに、必ず毎日勇者たち全員がすでに図書館で待っているのだ。
ゴールドクラスから図書館までの距離とプラチナクラスから図書館までの距離は同じはずなんだけどな。
「やっほー」
僕は図書館の扉を開け、中にはいる。
「ん?」
何故か扉の前には大きな胸を張ったマリアお姉ちゃんと睨みつけてくる勇者が立っていた。
「ねぇ私達は更にもう一つ上の段階に上がってもいいと思うの!あなたもそうは思わないかしら?」
「ぎりぎり」
「……え?」
……大丈夫?
大丈夫?僕の平和な生活。
平和な生活保たれるよね?
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