第6話

「何故に隣へと腰を下ろす……?」

 

 金髪に美しいアメジストの瞳を持った美青年である皇帝陛下。

 その名をヴィルヘイム二世。

 威風堂々たる態度で、圧倒的な覇気を纏っている皇帝は隣へと腰を下ろした僕に困惑したような表情を見せる。


「え?別に良いでしょ?」


 僕は笑顔でヴィルへイム二世に告げる。

 ちなみに今は仮面をつけていない。どうせ皇帝は僕の顔など知っているのだから関係ない。仮面をつける意味などない。


「……一度我が軍を壊滅させた男だぞ?お前は」


「えーそんな昔のことなんて覚えていないよ?というか、我が軍って主語が大きくない?別に僕は全滅させたわけじゃないじゃん。所詮は12もある軍のうちの一つを潰しただけじゃんか」

 

 昔、ちょっと色々あってアルメシア帝国の軍とバトって、全員食べちゃたことがあるのだ。


「それでも十分痛手だわ!」


「ぶー。まぁ、そんな昔のことに囚われるのはやめよ?やっぱり今を生きないとね」


「……はぁー。それで?二度聞くが、要件はなんだ?」


「え?ただの挨拶だよ?」


「……それだけか?」


「うん。それだけだよ?」


「……」

 

 僕の言葉に皇帝は沈黙する。


「いや!挨拶はしたほうが良いでしょ!?僕が勝手に動くと色々と問題でしょ?あらかじめ僕が接触してきて正解でしょ?」


「……いや、まぁ、そうではあるのだが……実際にそうであると聞くと拍子抜けであるのだよ。もっとエゲツないのが来るであろうと予想していたからな」


「えー。別に僕は厄介事を運んできたりしないよ?第一席と違ってもっとアンデッド退治に協力しろ的なこと言わないよ?」


「そうではあるが……お前であるからな」


「僕に対しての熱い不評被害辞めない?」


「いや、お前は吸血鬼ではないか……」


「そうだけどね。あ、皇帝は僕に対して何か用はある?」


「いや、ないな」


「オッケー。じゃあ僕はこれでさようならするね!」

 

「あぁ。そうしてくれ。くれぐれも領内で問題は起こすなよ?」


 僕は席を立ち、扉をへと向かう。


「わかっているよ。バイチャ。……あ!後、この国で悪魔崇拝者とかが動いているから気をつけてね!」


「ふあ!?それはどうい」

 

 僕は扉を閉め、帰路に着いた。

 ……なんで僕は皇帝に対してあんなキャラで接してしまったのだろう……。

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