第5話

 アルメシア帝国が誇る帝城。

 建てられてから一度も侵入者を入れたことがないらしい難攻不落の城に僕はお邪魔しに来ていた。

 帝城に張り巡らされている幾つものトラップをすり抜けて、僕は易々と帝城の中に入っていた。

 

「ふんふんふーん」

 

 皇帝がいる場所は……と。

 僕は血を薄くのばし、皇帝がいる場所を探す。

 もう皇帝とシーネの会話が終わっているであろうタイミングでやってきたから、一人だと思うんだけど……。


「みっけ」

 

 僕は宰相と共にいる皇帝を発見する。二人以外にも人の気配があるけど……。

 そちらへ向かって僕は歩を進める。


「お邪魔するよ」


「「ッ!!!」」


 僕は二人が寛いでいた部屋の中に入っていた。

 扉を閉め、防音結界を僕が張り直した瞬間に僕に向かって槍が向かってくる。

 

 バンッ 

 

 銃声が一つ。

 僕の持っている銃より放たれた弾丸が槍を破壊した。


「……ッ!?」


「辞めてよね」

 

 いきなり槍を向けてきた男に視線を向ける。

 この部屋にいた皇帝と宰相以外の人物。二人の護衛として立っていた騎士の男に。

 

「別にこうして入ってくるのは僕だけじゃなくて、第一席もそうでしょう?……第二席である僕が来ていることの報告くらい来ているでしょ?……ちゃんと僕だって異端審問官の服装をしているというのに」

 

 僕は不安げに言葉をもらす。


「お前は……!」

 

「確かに僕は吸血鬼ですよーだ。でもそろそろ認めてくれても良くない?結構人類のために動いているよね?ちゃんと」

 

 僕は笑みを浮かべ、皇帝へと視線を向ける。


「まともに動かない帝国なんかよりもよっぽど、ね?」


「ふむ」

 

 僕の登場にめちゃくちゃ驚いていた皇帝は……平静を取り戻し、横柄に頷く。


「よい。お前ら。客人であろう。座るが良い。要件はなんだ?」

 

「ほーい」

 

 僕は皇帝の言葉に従って、皇帝に隣へと腰をおろした。

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