第22話
アルメシア帝国。
帝都。
アルメシア帝国は急速に発展し、武力によって中小国をまとめ上げて誕生した帝国である。
人間同士で争う。……アンデッドと言う脅威が存在している中で、それ以上に愚かしいことはないのだが、大した国力もない中小国よりも一つにまとまった大国であった方が人類のためになると判断した教皇によりアルメシア帝国の領土拡大は容認されたのだ。
アルメシア帝国はアンデッド退治に熱心ではないのだが……それでもかつての脆弱だった中小各国の支援よりは強力だった。
そんなアルメシア帝国の帝都は華やかさの塊ような街だった。
ファースト王国の伝統的で整合性の取れた街とはまるで違う雰囲気の街だった。
「改めてみるとすごい活気だよな……」
帝都を歩くルトがボソリと呟く。
「ふふふ!そうであろう!自慢の帝都だぞ!」
それを聞いてラミレイアが嬉しそうに、自信満々に呟く。
……こんなに繁栄していて、人口もいるのであればもう少しアンデッドを倒すために協力してほしいんだけどねぇ。
兵力後数千人寄越しやがれって話である。
「……私は一人で散々と回ったから知っているけどね」
マリアが不満げな声を上げる。
「……」
それを聞いたルトがピタリと動きを止める。
「……ごめん」
そしてルトがマリアへと頭を下げる。
「ふふふ。別に良いわよ。もう気にしていないしね」
「それでラミレイア」
僕はラミレイアへと声を向ける。
「ん?」
「僕は帝都で有名なレッカパンというのを食べてみたい」
「良いぞ!レッカパン!我らが帝国の自慢の一品だ!」
レッカパン。
僕が殺した帝国の戦士の好きな食べ物だ。
その戦士の記憶にはレッカパンを初めて食べた時の思い出が鮮烈に記憶されていた。
これならば僕も味を感じることが出来るかも知れない。壊れた僕でも。
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