第32話

 シーネの話。

 それを簡単にまとめるとこんな感じになる。

 

 ・正体不明の多くの敵に王宮が襲われてシーネを除く皇帝家が全員捕まった。

 ・既に配下のほとんどが裏切っていて頼れる人は誰も居なかった。

 ・そんな中、自分だけが命からがら逃げてきた。

 ・誰を頼っていいかわからず、僕たちのところに駆け込んできた。

 ・シーネはとある事情からほぼ家出のような状態で帝国から出てファースト王国来

  ていたので今まではずっと皇帝家一族としての面倒事をこなしていた。

 

「なるほど……大変だったのね」

 

 シーネの話を聞いてマリアが神妙な顔を浮かべて、頷く。


「なぁ、アウゼス」

 

 ルトが僕の方に話を振ってくる。


「何が起きているのかわかっているって言っていたけど……正体不明の敵の正体について、わかるんじゃないのか?」

 

「ふっ」

 

 ルトの疑問。 

 それに対して僕は笑いを返す。

 笑った僕を見てシーネが眉をひそめる。


「まぁ……わかるね」


「は?」

 

 そんなシーネは僕の言葉を聞いて固まった。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!?」

 

 そして、大きな叫び語を上げた。

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