第31話

 玄関の方から着替えたシーネとマリアが入ってくる。

 

「のっと」

 

 僕はベッドの方から体を起こし、椅子の方へと座り変える。

 それによって空いたベッドに二人が座る。


「落ち着いた?」


「……えぇ、落ち着いたわ」

 

 僕の言葉にシーネが頷く。


「私なんかが焦っても意味ない、ってことに気付かされたわ……」


 ……なんか暗くなってない?思っていたのと違う方向に落ち着いているんだけど……。

 マリア?どうなっているの?

 僕は一緒にいたマリアの方へと視線を送るも、きれいにスルーされてしまう。


「君だけじゃそうかもしれないけど、僕らが入れば別だよ」


「……そう、かしら?」


「うん。死霊魔術師の教育と改造を受けた子もいるんだしね。……じゃあ、まずは一体何があったのか。教えてもらうことは出来るかな?」


「えぇ……もちろん……あまり長く話しても仕方ない……いや、まだ何もわかっていないに等しいので、話せることも少ないのだけど……」


 シーネがここで一度深く息を吸う。


「簡潔に言うと帝国がひっくり返ったわ。私以外の皇族は敵に捕まっている。敵はまだわからないわ」

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