第30話
「……何があったんだろうか?」
シーネが居なくなった後、ルトがボソリと呟く。
「面倒事だよ……」
それに対して僕は吐き捨てるように告げる。
ここからはゲームでやっていない。未知の世界だ。
だけど、ここまで色々と暗躍して情報を集めてきている。何が起こっているのか、それくらいは理解しているつもりである。
この世界で一番大きな情報網を持っているのは僕なのだ。
「お前は何が起きているのかわかっているのか?」
「まぁーね」
僕はさっきまでシーネが座っていたベッドの方へとダイブする。
「そこそこわかっていると思うよ……少なくとも普通の人間よりは遥かに理解しているよ。一応僕は天才と呼ばれる側の人間ではあるからね」
「流石だな、君は……まるで君の背中が見えない……」
それに対してルトが深々と言葉を告げる。
「見る必要はないよ。君は勇者だ。実力では越えてくれないと困るけど……ほかは超える必要はないよ。情報を集めて君に伝えるのが僕のような裏方の人間の仕事だ」
「……そうだな。……俺は勇者なんだ。頑張らないとな。それで?結局シーネの周りで起きた厄介事とは何なんだ?」
「それは後で本人に聞いてよ。……もう来たからね」
僕はちょうど開かれた玄関の扉の方へと視線を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます